16: 寂しいねん ページ16
合宿が全部終わって
最終日は少し早めに上がったから
信介に「一緒に帰ろ」と送って
しばらく一人で球を拭いて。
「帰るで」
そのLINEが来たときは、
飛び跳ねるぐらい嬉しかった。
久しぶりやもん。
自分は急いで支度をして
バレー部の部室付近に走ると
半袖で涼しげな恰好をした信介の姿が。
A「信介!」
信介「あ、Aか、おつかれ
ちょっと待ってな」
A「…あ、おん」
部室の前で侑と治くんと
何やらゆっくり話してて
…仕方ないことやけど
後回しにされた感覚になった。
角名「部活帰り?」
A「わ、角名。お疲れさん。
…今日まで合宿やったん」
角名「日焼けしてるね、痛くない?」
A「ヒリヒリはするな少し」
角名「北さんと帰んの?」
A「せやで、久しぶりでな、嬉しい」
角名「ふーん」
角名「ぶっちゃけ、好きなんだ?」
A「大好きや」
角名「ほぉー、告らないわけ?」
A「…自分がいくら好きでも
兄妹やと付き合えへん」
A「信介、今忙しいん?」
信介「んー、ちょっとな。
何か用あるんなら少し待ってくれるか」
ちょこんと、信介の部屋の隅に座る。
信介は課題だろうか
机に向き合って
リズム良く文字を書いている。
A「…合宿結構頑張ったん」
信介「せやな…怪我なくてよかったな」
A「日焼け止め塗る暇もなかってん」
信介「…健康的になったなあ」
集中しとるんは分かる。
分かるんやけど
こっちを向かないで空返事な信介に
苛立ちと寂しさを感じた。
A「信ちゃん」
A「Aにも…少し、構ってや」
信介「…ん?」
信介「…すまんな
このページまでやりたかってん。
よいしょっと…
ほれ、なでなでしたる、こっち来」
信介は床に一緒に座って
ニッコリ笑ってくれた。
A「ちゃうねん。
目ぇ痒くて掻いてしもたん」
信介「はは…小っちゃい時もそ言ってたなあ」
信介「寂しかったんやな
ごめんなぁ、頑張ったもんな」
A「子供扱いせんで」
信介「そら無理な話やで
いくつんなっても
Aは、可愛い妹やからなあ」
信介「あ、そいやさっき婆ちゃん
らっきょの漬物漬けたゆうてたなぁ」
A「らっきょ…!!」
信介「はは、ほんとにらっきょ大好きやな」
A「美味しいもんは裏切らへんねんで」
信介「でも白飯は2杯までにせんとな」
A「え、やっぱ…太った?」
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作者名:げんまいちゃ。 | 作成日時:2020年12月26日 3時