【7章】一難さってまた一難 ページ49
sideなし
アスタの最後の一撃を受け
ヴェットはその場に倒れた
ヴェットの魔力は完璧に消え、今度こそ本当の勝利だと皆確信した
ボロボロになっているアスタを糸で引き、抱きしめるバネッサとフィンラル
腕は折られ、体も傷だらけのためアスタはその抱擁に痛がっている
貴(最後の最後まであの瞳のままだったな
絶望してたのは私たちじゃなくてヴェットだった
それも何かに、ずっと絶望し続けていた
それが私達人間のせい…考えても仕方ない
人間とはそういう生き物なのだから)
悲しい表情のままだが、喜ぶ仲間達を見てAは一まず戦いが終わった喜びに浸ることにしたらしい
ノエル「A、大丈夫？」
貴「魔法で折れた肋の補助はできて、ちゃんと話せるようにはなったけど
歩くのはまだちょっと無理かな」
心配してくれるノエルに「アハハ」と笑うA
アスタ「勝ったぞーA！！」
バネッサ「もう、自分で当たったら即アウトって言ってたのに…無茶しちゃって」
フィンラル「Aちゃーん、大丈夫ー？？」
ゾロゾロとやってくる三人にAはクスクスと笑う。先程まで驚異的な集中力とテクニックを見せつけていた者達とは思えないほどの呑気さだ
バネッサ「いよぉぉ〜し
それじゃ、勝利の美酒を飲みましょ〜！」
貴「いや、飲んでる場合じゃないでしょ」
フィンラル「そうですよ！
あのオッサンどーにか拘束してしょっ引かないと
額から目が出て来たりいろいろと聞きたいこと山積みですよ！」
そんなわちゃわちゃとした会話をし
さていざヴェットをどうしようかと思った時
その異変は起きた
ドクン
貴・アスタ・ノエル・バネッサ・フィンラル
「「「「「!?」」」」」
倒れ、気を失っていると思っていたヴェットから膨大な魔力を感じ一斉に顔を向ける
ヴェット(…道連れだ…キサマら全員…
いや…
この神殿すべて吹き飛ばしてやる)
ネアンの洞窟で最後にリヒトが起こしていた魔力の暴走と似ている。だが、この膨大な魔力はあの時以上
バネッサ「アイツ…自爆する気！？まだ、どんどん大きく…！
なんて魔力、糸もかき消されてる
全然近づけないわ」
貴「…このままだと、ここ一帯だけじゃなくて外にいる海底の人達も危ない」
Aの言葉に四人とも息を呑む
だがそれでも、四人の瞳は死んでいない
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作者名：ソラ | 作成日時：2020年5月22日 11時
