【7章】踏み出す一歩 ページ33
sideなし
ドサッ
空中で切り裂かれた男が地面へと沈む
その顔は白目を向いており、気を失っていることが分かった
貴「…魔法が効かないなら
物理で叩けば良いだけだろーが
魔力が無くても戦えるのは、アスタだけじゃねーんだよ」
男の魔導書[グリモワール]を"卿雲の平穏"で包みながら、Aは手元にある剣をクルクルしながら、腰に差し戻した
拘束魔法を使えない為、殴って創った落とし穴に男を生き埋めにした後Aはヴェットがいると思われる方角へと走っていった
貴(さっき、戦っててあまり気付かったけどマグナとラックの魔力を感じた
でも今は全くそんな魔力感じない…急がないと)
少しばかり焦りの表情を浮かべて、Aは前を見据えた
.
.
ヴェットとなら先頭に釘付けになっている、大司祭とヤミ
目の前の映像ではラックとマグナが、そしてアスタまでもが地面に倒れていた
そして映像の中心にあるヴェットは一人の茶髪の少女の髪を掴み嗤っていた
ヴェット『オマエらが壊した…黄金の夢と血の絆がな!!』
大司祭「こやつ…一体何を言っとるんじゃ!?
この悪魔めぇぇ〜!!」
映像を見ながら涙を浮かべ、悔しそうに唇を噛み締める大司祭は表情を怒りに染めていた
だがその表情を凌駕するほどの怒りはヴェットにもあった
ヴェット『これでもう二度とくだらん歌も踊りも出来んなぁぁ…オマエらの言うチンケな夢とやらも潰えたワケだ
どうだ弱者よ…!!とくと味わったか!?
絶望を…!!』
髪を掴んでいる少女を嘲笑うように嗤いながら、ヴェットは言葉を口にする
だが少女はその言葉を聞いてなお、その瞳は死んでいない。絶望などに…染まっていない
ヴェット『…気に食わん目をしやがって
ならば…四肢を一つずつ捥いでやろうか?』
少女の瞳を見て掴んでいない方の手を少女へと向けるヴェット
ノエル『やめてぇー!!!』
その光景をずっと見ていたノエルが大声でヴェットに叫ぶ。その姿は、杖をヴェットに向けているが足は震え、手も震え、そして顔は強く強張っている
ノエルの言葉など聞く気もないヴェット何も出来ないのかと、皆が戦っているのに自分一人だけ震えることしか出来ないのかと涙がこみ上げてきている
(大丈夫だよ)
だがそんなノエルを救ったのは
ヴェットに掴まれている少女の言葉だった
.
91人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ソラ | 作成日時:2020年5月22日 11時