空に映る感情～ページ２～【ブラッククローバー】 (ページ6)

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【2章】なりたい理由ページ6

side貴方

貴「まぁ、私はその人のこと何一つとして覚えてないんだけどね」

ノエル「覚えてないって…？」

貴「どんな格好をしていたのか、どんな声をしていたのか、髪の色、身長、全て

ただ、なぜか覚えてるのは
その人が私に『馬鹿』って言ってくれたことと
その人が男の人だったってことだけ」

何度も思い出そうとしても
あの人のことは一切思い出すことはできなかった

バネッサ「記憶に魔法がかかってるってこと？」

貴「まあ、半分正解で半分不正解ってところかな

私にかかってる魔法はとっくの昔に解けてる
だけど、その部分だけ魔法がこびりついていて取れなくなってしまったってわけ

毒魔法にかかってその魔法を消すことができても
体内に侵入した毒の機能は消えないのと同じ原理ね」

私の説明に納得したバネッサだったが少し悲しそうな顔をしている

貴「…私はねその人に会って変わることができた

全てを諦めて、未来を信じることができなかった私が

その人に会えたから
未来がどうなるかなんて
今の私には分からないって思えるようになった

強くなれば
私みたいな人たちを救えるって思わせてくれた

そんな私を救ってくれた
あの正義の味方みたいになりたいって思った」

私は自分の胸に手を当てて過去の自分を見据える
諦めた自分がいたからこそ見つけられた夢

貴「それが私の、なりたい理由」

話終わった後、場が静まってしまうから照れ隠しにお酒に口をつける

アスタ「スッゲェェな！
憧れた人みたいになりたいって気持ちオレもあるからわかる！！」

ノエル「まぁ、憧れちゃったんなら仕方ないわね」

なんとなく予想はついていたが、こうも簡単に受け入れられると逆に恥ずかしいんだよな
馬鹿にされた方が対応しやすいって…私もなかなか性格歪んでるよな

お酒に口をつけながらアスタとノエルの言葉の返事を考えていると、隣に座っていたバネッサさんが顔を近づけてくる

バネッサ「で～？」

貴「でって…何を言ってるんですか」

ニマニマと笑いながら私を見つめているバネッサさんの顔を見た時、私のよく当たる嫌な予感が全身を駆けた

バネッサ「や～ね～、珍しく察しが悪いじゃない
助けてくれた人が男の人だって分かってるんでしょ～

じゃあ、その人が初恋の人かって聞いてるのよ～」

ブッ

バネッサさんが言葉を口にした瞬間
私は口に含んでいたお酒を目の前にいるアスタにぶっかけてしまった

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