【4章】届かない手 ページ46
side貴方
仕事をしようかと思って空を飛んだ瞬間に、私がいた入り口付近がぶっ壊されてその風圧で勢いよく向かい側の壁に激突して頭を抑える
運悪いなー、と思ったが私の視線の先で男の魔法に囚われ身動きが取れなくなっている、ラックと黒髪くんと眼鏡くんを見て逆に運が良かったのだと悟った
貴(イッタイな、クソ…後頭部に当たったし下手したら死ぬぞ)
壁に当たった後頭部をさすって血が出ていないかを確認する、かなりの勢いでぶつかったため少し上手く体を動かすことができない
無理やり身体を起こそうとしながら目の前で起こっている状況を少しでも理解しよう前を見た
【炎回復魔法"不死鳥の羽衣"】
貴(オイオイマジかよ、別に回復魔法が使えてることに驚きはしないけど
アイツの魔力は『鉱石』だったはず、なんで『炎』魔法が使えてんだよ)
自分みたいに複数属性が使える魔力でなかったはずなのに、色々な魔導士を見てきたが流石に二種類の魔力を持つ人間を見るのは初めてだった
ノエル「その炎…私が消すわ！！」
私が驚いてるその先で、男の近くにいるノエルが茶髪ちゃんを守るように杖を構えた
その声に、魔力に反応したのかは分からない
だが、男は怒りを含んだ眼差しでノエルを見る
貴(…ヤバイ！)
「……ノエル待てっ！逃げろ！」
上手く動かせなかった体がやっと動き、ノエルに向かって手を伸ばすがその手は無情にも届かない
私の手が届かなかった先で、男の硬度な鉱石の鎧の拳がノエルの体を捉え後ろへと吹っ飛ばした
ミモザ「ノエルさん！！」
貴「ノエル！！」
アスタ「ノエルーー！！！」
私はただ飛ばされたノエルの元に無我夢中で走った
アスタ「テんメェェェ」
アスタは私とは逆に怒りを露わにし剣を握って男に向かって行った
「オマエの能力はわかった
その剣があらゆる魔法を砕くなら…
剣より速い魔法はどうだ？」
【鉱物創成魔法"ハルパー"】
男は無数の小さな剣を作り出し、その剣がアスタを襲う。だが先ほどまでの攻撃よりも…
貴・アスタ(速い…！)
向かってくる剣に対応するが、アスタの持つ剣は大剣だ。その重さで上手く対応できず、確実にアスタの体が小剣に切り裂かれていく
貴「茶髪ちゃん、ノエルは！？」
ミモザ「……助けます
必ず、ノエルさんを助けてみせます」
【植物回復魔法"姫癒の花衣"】
茶髪ちゃんがその言葉を言うのと
何か壁にぶつかる音が聞こえたのは同時のことだった
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作者名：ソラ | 作成日時：2020年5月11日 13時
