空に映る感情～ページ２～【ブラッククローバー】 (ページ23)

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【3章】あの日の景色ページ23

side貴方

クスクスと昔を懐かしむように笑う魔法帝を見ながら私はコホンと咳をした

貴「私を執務室に呼んだのは昔話をしたいからですか？
それなら私は失礼しますが」

私は冷たい視線で魔法帝を見るが、気にした様子もなく私の視線を受け入れている

ユリウス「まぁ、そう言わないでくれ
ちゃんと君と話したい内容があるんだよ」

魔法帝はそういった後少しだけ黙り込む
そしてゆっくりと目を開けたその眼差しは魔法帝としての瞳だった

ユリウス「君はコミス村の出身だったんだね」

貴「…！驚いた、知ってて私を魔法騎士団に誘っていたと思いました」

ユリウス「そこまで私は身勝手じゃないつもりだよ

だけど、そうだね…
君は私が知っていると思って誘ったと思っていたのなら、私を身勝手な人だと思われても仕方がないね」

私の言葉に少し悲しそうに笑う

貴「初めて会った時はそう思っていました

ですが、3年前に貴方と会った後様々な人から貴方のことについて聞かされました

だから何か理由があったのだろうと思っていたのですが…まさか知らなかったとは」

悲しそうに笑う彼を見ていたくなくて、少しでも和らぐように私は言葉を口にする

ユリウス「…ありがとう
そう言ってくれるだけでありがたいよ

君がコミス村出身で教会育ち
今年で20歳だと聞いて気づいてしまった」

魔法帝が口にしようとする言葉は想定できている
だから、来たくなかったのだ

魔法帝が知らずに私に近づいたのは想定外だったが
彼が魔法帝である限り気づいたらこうなるに決まっている

ユリウス「君は6年前

魔法騎士と貴族の宗教集団
『Raw blood』が起こした集団虐殺事件の生贄であり

たった一人の生き残りだね」

『……行かないでA姉…
行ったら、帰ってこれなくなっちゃうよ！！』

『今年A姉が生贄なら、来年は僕たちが……』

6年前の事を思い出すとたまに吐き気を催す時がある
これでも良くなった方だが6年経ってもあの光景が鮮明に覚えている

貴「たった一人の生き残りとは語弊がありますね

本当は教会の子供全員も生贄にしようとしてたんですが、私が教会の連中騙して一人で行きましたから

だけど、それ以外の子たちは

……救うことができなかった」

たとえどんな綺麗な景色を見たとしても
私はあの日の惨状以外の景色を覚えていることはできない

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