【冒険の章】計算のない笑顔 ページ23
side貴方
貴「…ぅ、ぅぅ」
視界が暗い…いや、分かっている
これは私がただ目を閉じているだけなのだと
だがそんな事を考えられないくらい今は顔面が痛い
意識を取り戻した拍子に感じる凄まじい痛みに、思わず声を出しながら私は瞑っていた目を開けた
「フン、やっと目が覚めたか」
私の声を聞き近寄ってきていた女性と視線が交わる
挑戦的な笑みを浮かべ炎を纏った拳で私の顔面を殴った女性がそこにいたのだ
貴「えっ！？」
遅いかもしれないが、そこで初めて私は自分の体に戻ってきたのだと分かった
勢いよく体を起こし自分の体に目を向ける。胸の前に手を持ってきてグーパーグーパーとしてみるが、なんの違和感も変化もない。右腕の肘まで伸びていた黒いアザも無くなっていた
一通り確認し終わった後、私は思い出した様に立ち上がり目の前に立っている女性から離れた
「ほう…元気が良いみたいだな小娘」
女性を警戒する様に立つ私を面白いと言いたげな目で見つめる女性。口角まで上げて何かを楽しんでいるみたいだ
貴「一応、助けてもらったお礼は言おう…
だが、どうして貴族の身分の人がこんな強魔地帯にいるんだ」
あのまま力に飲み込まれたまま時間が経っていたら、悪魔の力が暴走していたのは確実。あの呻き声や同じ事を淡々と言っていたのはその前段階だ
だからこそ、力が暴走する前に止めてくれた女性にお礼は言う…だけどそれだけだ
女性を見た瞬間からこの人が貴族だと分かっていた
まず、下民や平民と着ている服が違う
動きやすさを重視しているが服の質や仕立て具合がそこら辺で売っているものとワケが違う
言葉遣いや佇まいは貴族だと思えないが
彼女の纏う魔力は下民や平民だと思えないくらいに圧倒的に高い。私も下民で貴族と同等の魔力があると言われてきたがそれを凌駕するくらい彼女は高い
下民や平民が着れないであろう質の服に
否定できないくらいに圧倒的な魔力量
この二つが揃った時点でこの女性が貴族なのは間違いない。…間違っていたら申し訳ないが
「貴族などと身分に何の関係がある？
私はただ、強いヤツがいると思ってこの強魔地帯にきた。それだけだ」
自分の拳に炎を纏わせながら豪快に笑う女性に私は少しだけ拍子抜けしてしまった。何か裏があるのかと勘ぐっていたのだが、そんな裏を思わせない女性の態度に普通に驚いてしまったのだ
「どうした小娘？
貴様も己が選んでここへ来たのだろう？」
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ソラ(プロフ) - ギザラスさん» コメントありがとうございます！長かったですが【冒険の章】で夢主の悪魔の魔法が発覚します。楽しんでくれますと嬉しいです(*^^*) (2020年7月1日 15時) (
レス) id: d346541665 (このIDを非表示/違反報告)
ギザラス(プロフ) - 遂に悪魔の力を… (2020年6月30日 22時) (レス) id: 5dbc8f9112 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソラ | 作成日時：2020年6月24日 20時
