勘違いから始めよう【場地圭介】 (ページ3)

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入学してからしばらく経っているため、授業中も賑やかなことが多い

ずいぶん学校には慣れたと思う

先生の言っていることを適当に流しながら、板書を進めていく

この先生、書き直し多いから嫌なんだよな

だから先生が書くより遅めに写す方が楽

それでも消しゴム使う羽目になるけど

ふと足先になにかが当たる感覚がした

私なんも落としてないし、他の人か

気付いてないふりしとこ

椅子から身を乗り出して手を伸ばすのって意外とだるいんだよね

言われたらさすがに拾ってあげるけど

落し物を無視して、ノートに続きを書く

あぁ、ほら

また書き間違えた

クラスメイト達はすでに書いたノートの字を消すべく、消しゴムの音が聞こえる

「ん？…あれ、っかしーな」

「消しゴムどこやったあ？」

いつも通り後ろから聞こえる声に納得した

あぁ、下に落ちてんの場地くんの消しゴムか

まあすぐに気付くでしょ

「筆箱ん中にもねえな」

「てかさっきまであったよな？」

いや、そんだけ探してないんだったら落ちてることを疑えよ

何回も書き間違えあったんだから、使ってるに決まってるじゃん

なんで気付かないの

もやもやするのを抑えきれず、頭を抱える

あぁもう、しょうがないな

椅子の下に落ちている消しゴムを拾って、後ろを振り向く

「探しもの、これでしょ」

探している痕跡でごちゃごちゃした机上を見ると、早く拾ってあげれば良かったと少しだけ可哀想になった

机の前の方に消しゴムを置くと、場地くんは「おぉ！」と言って嬉しそうに笑った

「探してたんだ、ありがとな」

「どういたしまして」

なんとも居た堪れない気持ちになりながら、黒板の方を向き直す

さすがに申し訳ないかもしれない

場地くんが馬鹿なのも悪いけど