5 はじめまして ページ6
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『で、何をそんなに大声出す必要があったん?』
ドアに寄りかかり、腕を組んでじっとこちらを見つめるA先輩
「…この雰囲気、北さんと似てるね」
ぼそっと呟いた角名の言葉に小さく頷く
こんな近くで見るの初めてや
正面で見るのも初めてや
ごっつ緊張する
さっきまでのテンションはどこへやら、
弓道部は一気に青ざめ、あたふたし出した
「い、いや、ちゃうくてですね。
えっとぉ…み、宮くんが先輩のこと知りたい言うもんで、熱い演説を…」
待て待て待て
おい、急に俺にふんなや
「治、これはチャンスだよ。先輩と繋がるチャンス」
せ、せやな
これはチャンスや
『…宮くん?』
首を傾げる先輩かわいいなあ
…と、ちゃうわ
「おお俺です」
俺なに緊張しとんねん
しっかり喋れや
『君が宮くん?はじめましてやな、和倉Aいいます、よろしゅう』
にこりと笑うこの人はあの時のままやった
近くで見るといっそう美人さんや
「あ、えっと宮治いいます。バレー部です。よろしゅうお願いします!」
『それで、そのバレー部の宮くんはうちになんか用なん?』
え、なんて言おう
一目惚れしましたとは言えんよな
ちらっと角名を見るが、親指を立ててくるだけ
少しは助けろや
「…用とかやないんですけど。前に一度体育館に北さんとこ来たの見て、その、き、気になりまして…?」
『なんで疑問系なん』
わ、くすって笑った
めっちゃかわいい
やばい、顔赤なる
『ま、ええわ。
「ええんですか!?」
『おん、ええよ。信介くんの後輩やしな』
よっしゃあ!
心の中で思いっきりガッツポーズをする
「ありがとうございます!」
『ええって、別に。…で、楪今日の部活やねんけど5時から団体の練習するで他の2年にも伝えといて』
「はい!」
『よし、じゃあお騒がせして悪かったなあ。楪がうるさくってすまんな宮くん、ほなね』
「はい、連絡するんで」
小さく手を振って帰っていく先輩
俺も腕全体をふって応える
あ、また笑った
かわええなあ
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稲荷崎高校 2年1組
弓道部
弓道部に入ったきっかけはAが射っているのを見て、かっこいいと思ったから
Aのことは大好きだが、怒られるのは怖い
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作者名:あゆみ | 作成日時:2020年3月16日 3時