夢の、終わり。 ページ7
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みんな、呑まれてしまった。私しか、いなくなってしまった。
とぼとぼと、家へ帰りつく。そこに待っていたのは、私の書いた設計図を広げた父親だった。
何故。隠しておいたはずなのに。
頭が真っ白になる私を前に、父親の低い声が静かに響く。
「……A。これはなんだ?」
「……」
「これはなんだ、と聞いている。」
「……設計図……です……」
嘘は言ってない。設計図、以外になんといえばいいのだろう。
「私が何故お前に怒っているか、わかるね?」
「……」
「……結婚もせず、挙句はこんなものまで。女が男の道に手を出すとは何事だ!まったく……わがままに育てすぎたな。」
そう言いながら、父親は私の目の前で設計図を破り捨てた。
破られていく紙の音すら、無機質に聞こえる。もう、何も感じない。
「はあ……早く上がってきなさい。いいね。」
「……はい……」
消え入るような、私ではないような、そんな声が父親に答える。
……ああ。終わった。
終わってしまった。完全に。
私もまた蓮二や貞治のように踏みにじられて。あの頃の夢を、壊してしまったんだ。
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年12月23日 2時