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何もかもが染められて。 ページ3

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「……蓮二?」



糸目なのと、声は全然変わらない。だけど、髪が短くなって。そのせいかどこか大人びた蓮二は、私に向かって静かに笑った。



「久しいな、A。」



「……蓮二!やっぱり蓮二なの!?うわあ、久しぶり!元気だった?」



私が尋ねると蓮二はうなづき、続いて貞治に会いたいと言った。



やっぱり蓮二も懐かしい人に会いたいのだろう、と貞治の元へ連れていく。貞治も貞治で、変わった蓮二にすっかり驚いていた。



「教授……!」



「懐かしい呼び方だな、博士。お前はちっとも変わらんな。」



「ああ、ああ……本当に、久しぶりだな!どうだ、上がっていかないか。是非積もる話を……」



「そうしたいところだが、すぐに戻らなくてはいけなくてな。」



軍人さんも忙しいんだなあ、なんてぼんやりと会話を聞く。すると、蓮二が本題を切り出した。



「貞治。聞いたぞ、工学の研究をしているそうじゃないか。優れた飛行機設計をすると、風の噂で聞いたぞ。」



「それは嬉しいな。実は……」



「貞治、その力を軍に捧げる気はないか?」



ふっと、笑みが消える。私の顔からも、貞治の顔からも。



「……え?」



「この国のためだけに強い飛行機を作れる人間を探している。……どうだ、素晴らしい話だとは思わないか?」



一人、蓮二は生き生きと話す。



その姿はどこか、この場の空気にそぐわないようにも、感じた。

国家の呪いに惑わされ。→←あの頃の夢は変わらず。



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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru  
作成日時:2015年12月23日 2時

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