紅色の飛行機雲【庭球浪漫/柳蓮二/乾貞治】 (ページ2)

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あの頃の夢は変わらず。ページ2

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その後、私たちは思い思いの道へと進んだ。

貞治は、大学へ。私は、親の冷たい目を受けながらも女教師に。蓮二は、その才能を買われて、軍へ。

私は密かに、あの夢を覚えていた。もっとも、蓮二とは軍入りしてから、ほとんど会えなくなってしまったけれど。

蓮二はどうかわからないけど、私と……少なくとも、貞治は夢を実現すべく、着々と準備をしていた。

「貞治ー！」

仕事を終えて、密かに貞治と会う。貞治に、大学での授業の話を聞くのが、私の楽しみになっていた。

「貞治、今日は何やったの？」

「うん、今日は……」

図を広げながら、貞治はひとつひとつ丁寧に私に教えてくれる。

貞治は、大学で工学を学んでいた。そう、すべては約束を果たすために。

両親……特に、父親なんかにこんなことが知られればどうなるかはわからない。だから、あくまでこっそりと。

貞治の説明を聞いて、自分でも設計図もどきを書いたりもしてみた。それも、親には隠してある。

……ただ、時々蓮二のことを思い出す。

蓮二は今、どうしているんだろう。どんなふうになっているんだろう。

……約束は、忘れていないかしら。

そんな時だった。

蓮二が突然、私たちの元へとやってきた。深緑の軍服を、自らの体に纏ったまま。