第5話 ページ6
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「大丈夫…ですか？」
「……？」
濃い赤髪の男性は心配そうにこちらを見ている。
……誰？
「あ、大丈夫…です。」
「…でも、泣いてたから。その制服、聖フローラ学園ですよね？」
「なんで…知ってるんですか。」
「そりゃあ、秀才が集まる学校として有名ですし。それに、オレの劇団に君と同じく聖フローラ学園に通ってる子いるし。」
……！劇団って…。もしかして、瑠璃川くんと向坂くんの劇団…？
MANKAIカンパニーの人なのかな？
「瑠璃川くんと、向坂くん…ですか？もしかして。」
「知ってるの？なら話が早いですね。…えっと、親御さんは…？」
「……！！あんな人達知りません。今さっき家出してきたので。」
「い、家出！？えっと、何があったかは分からないけど…。うーん…。このままって訳にはいきませんが、寮に来させると犯罪になってしまうからね…。どうしよう…。」
「い、いえ、ありがとうございます。お気持ちだけで結構です。では。」
と言って、私は公園を後にした。
あの頃にはもう…戻れないから。
……でも、どうしよう。今の所持金だと、１ヶ月しかホテルに泊まれないよ…。
それに…。ホテルに泊まるには同意書が必要……。
……どうしたらいいの。
私はピロードウェイを通る。
……いいな。昔の私は、こんな風に演技も歌もダンスも出来てたのに、今は……。
今は、こんなに無邪気に笑うことも出来ない。
私は色んな劇団のストリートACTを見ていた。
時間はあっという間に過ぎ、16時を回っていた。
春とはいえ、16時になるとだんだんと暗くなっている。
……最後に、この劇団のストリートACT見ようかな。
すると、そこには瑠璃川くんと向坂くん…それに、私の芸能界時代の知り合い、皇天馬くんもいた。
…！！こんな形で会うなんて…。
って、無駄だよ。皇くんはもう私の世界とはかけ離れてる…。
私が話しかけていいわけが無い。
『皇くんのような子に、お前もなるんだぞ。』
子役時代、一緒に出演した番組で、その時からお父さんは皇くんのファンだった。
皇くんのような子になろうと、英才教育も頑張った。
けれど、私は皇くんのようにはなれなかった。
アステリアにもなれなかった。
私は皆に言われていた、不純物なんだ。
ストリートACTは終わって、私は涙を流した。
お客さんは帰っていき、私はそれに気づかずひたすら泣いていた。
「お前…明星 氷か？」
そう言われ、私は上を向くとそこには皇くんが立っていた。
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作者名：アリスティー | 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月7日 21時
