59.力量差 ページ10
貴「……っ、う……」
幸「起きた!?」
酷く慌てた声が聞こえる。
この声は、幸村君?
何で……
私は目を開けると、私は保健室のベッドで横になっていた。
傍には心配そうに焦ったように私を見ている幸村君の姿が。
起き上がろうとすると、「まだ寝てて」とあっさりベッドに引き戻される。
貴「私、どうしてここにいるんだっけ」
幸「倉庫で倒れてたんだよ。どうしてあんなところにいたのかは知らないけれど。部活が始まる時間になっても中々君が現れないから不安になって」
貴「幸村君が、探してくれたの?」
幸「いや、部員総出で」
貴「……」
そこまでしてくれたというのは嬉しいっちゃ嬉しいけど、部員総出でって……。
幸「大丈夫?また、頭痛?」
貴「ああ、うん。前と同じ」
ふふ、と私が困ったように笑うと、幸村君は目を伏せる。
幸「……本当に大丈夫?それは」
貴「あー……」
なんて言ったものか。
しかし、多分これからもこういうことは起こるんだよなあ。
貴「病気のようなものだよ。治療法はない。一生付き合っていくしかないの」
これからも幾度となく起こるであろうこのことを、幸村君にはあまり気にしてほしくなかった。
だから結局、私は『仕方ないもの』として幸村君に教えることにした。
貴「大丈夫、大したことはないから。いきなり頭痛がきて意識を失っちゃうだけ」
幸「そんな軽く言わないでよ……。そんな病気、普通怖いよ」
貴「仕方ないじゃない。どうにもならないことをどうにかしようとしたって無駄なんだから」
そう、安心させるために軽く笑ったのだが。
幸「秋月さん」
静かな、それでいて威圧感のある声が響く。
あれ、幸村君変なとこのスイッチ入っちゃった?
ギシ
幸村君はベッドに上がり、私の上に乗り掛かり私の腕をきつくベッドに押し当てた。
貴「!!……ちょっと、何」
幸「秋月さん前に言ったよね。幸村君って華奢だから、押し倒されたりしたら抵抗できなさそう……だっけ?それは秋月さんの方だよ」
どこにこんな力が、と思わされるほどに幸村君に押し当てられている手はびくともしない。
幸村君と私の力量差を思い知らされる。
幸「倒れている君を見つけたときは、本当に怖かったんだから」
囁くように言う幸村君の声は、少し震えているようにも思えた。
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美沙希(プロフ) - ノエルさん» 3、4話書いたらパスワードは解除する予定です。それまでどうか待っててください。長文失礼しました。 (2015年8月3日 21時) (レス) id: 7832578248 (このIDを非表示/違反報告)
美沙希(プロフ) - ノエルさん» 初めまして、コメントありがとうございます。財前君の小説についてですが、私のミスでもう一度書くことになりまして、大まかな設定は変わりませんが、行動や話の展開などは変わるかもしれないです。一度読んでくださったノエルさんには申し訳ない限りです。 (2015年8月3日 21時) (レス) id: 7832578248 (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - はじめまして!いつも楽しみに見させてもらってます♪特に赤司様の作品がお気に入りです!!これからも頑張ってください!あと、財前君の作品のパスワードを教えてください!! (2015年7月29日 21時) (レス) id: 00d2d4474f (このIDを非表示/違反報告)
美沙希(プロフ) - 苺さん» そうですね、ここは感想を書く場ですし。私も作品の感想を言ってもらえるのが一番嬉しいです。これからも応援、宜しくお願いします。 (2015年5月2日 22時) (レス) id: 8fd5e0cc9a (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 美沙希さん» 私は見習われるほどではありませんよ(苦笑)コメントはこれで終わりにします(´・∀・`)チャットに思われたらお互い大変ですので;;;;コメは時々します!!コメを私がしてなくても更新を楽しみに見ていますので(苦笑)美沙希さん、頑張ってください(^^) (2015年5月2日 22時) (レス) id: b02872e17a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美沙希 | 作成日時:2014年10月27日 22時