【テニプリ】トリップした私には『使命』がありました。２【立海】

９０．じゃんけん ページ41

財前君が落とした内の幾つかは私の手に収まらず、手から滑り落ちる。


貴「え……わっ……」


慌てて拾い上げると、それは小さなメモ用紙の、さらに小さく折りたたまれたもの。

財「それ、全員の連絡先です。ホンマは携帯で赤外線やればええやろって言ってたんスけど、なんかAさん携帯ないらしいって聞いて、書いたんやけど」


随分ざっくりした説明だが、まあ、意味は通じる。

ああ……ていうか、Aさん、か。


何だこれ＿＿すっごく嬉しい。


貴「だからってこんな小さなもの、わざわざ作ってくれたんだ……。ありがとう、四天宝寺さん。あと、仲良くしてくれてありがとうね、光君」

財「っ!!!」

貴「え、あれ？名前、間違ってた？」

白「全然間違っとらんで。ただ戝前は名前で呼んでもらえて照れとるだけや」

財「照れてないッスわ。……ちょお黙っとってください」

面白がった風に窓から顔を出そうとした他の人たちを追いやって、光君は心なし紅潮した顔をこちらへ向けた。


財「あの。Aさん。何で、名前」

貴「だって、光君私のこと名前で呼ぶし、私だけ呼ばなかったら、私が光君に距離置いてるみたいでしょ？」

財「〜〜っ」

私が光君と呼ぶ度、恥ずかしそうに顔を顰める光君は、何だからしくなくて可愛い。

貴「あ、そろそろかな。……じゃあね、さよなら」


そう言って四天宝寺とはお別れをし、次に帰るのが私たち立海大付属。


荷物を積んで、私たちもバスに乗る。

切「席順はどうするんスか？」

幸「赤也が気になっているのは、席順というか、秋月さんの隣だろ？」

切「な……悪いッスか、部長」

幸「悪くはないけど、そこは競争率が高い。……えっと、秋月さんはそこの前の席に座っておいて。俺たちで席順決めてくるから」


私を残し、バスを降り始める一同。

＿＿いや、そこまですることでもないでしょうに。


全く……私の皆への気持ちが一方通行じゃないとか……そういう勘違いさせないでよ。



皆はじゃんけんで席を決めたらしい。


一番に勝ったのは、まあ予想通りと言えばそれまでだけど、柳さんだ。


柳「この柳蓮二にかかれば、全員の行動パターンからじゃんけんで出す手も予測できるというものだ」

貴「相変わらずですね……」

そんな感じで、私の隣は柳さんになったらしい。


因みに、一番に希望していた赤也君はじゃんけんに全敗し、めでたく隣は真田さん、後ろには幸村君という、完全な監視体制が敷かれていた。

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