87.赤也君は ページ38
貴「赤也君は、私が学校の屋上から飛び降りようとしてたら力ずくで無理矢理にでも止めてくれるし、試合で思いっきりボロボロに負かしても悔しがってまた挑んできてくれるし、私が嫌な目に会ったら私の分も怒ってくれるし……ていうか、泣いてくれたし、それに」
私は、赤也君の首元に顔を埋める。
そして、少し顔を上げ、赤也君の耳元で呟いた。
貴「私が他の子と仲良くしてたら、嫉妬してくれた」
切「ッ!!!」
貴「大丈夫、赤也君?顔真っ赤だけど」
赤也君は、私の顔をちらりと見てから、力が抜けたように座り込んでしまった。
切「……うぅ。ホント、勘弁してください」
貴「何で?赤也君が不安がってるんだもん、仕方ないじゃない」
切「__俺の理性が飛んだら、アンタ、どうするんスか」
真っ赤なままでそういう赤也君は、しかし何かを堪えるように苦しそうな顔をしている。
貴「……えっと」
__どうしよう、赤也君可愛過ぎる。
貴「さ、先行ってるからっ!!」
赤也君の可愛さに耐えきれなくなり、思わず逃げ出す。
赤也君の見えない辺りまで走って、そこでようやく一息吐く。
貴「はあ……からかいすぎた……」
幸「誰を、からかいすぎたって?」
楽しそうな幸村君の声。
ああ、何故か知らないけど、これは確実に怒ってる声だ。
貴「赤也君、だけど」
幸「ふうん。本当、秋月さんは赤也が好きなんだね」
棘のある、言い方。
貴「……そりゃ、まあね。立海の今のレギュラーは、皆大好きだよ」
そこから、幸村君に目を合わせる。
貴「__満足?」
笑い返すと、幸村君は呆気に取られたような顔をして、それからさっきとは違った不機嫌さを醸し出した。
見れば顔が仄かに赤い。
幸「本心?」
貴「勿論」
むー、とでも効果音の付きそうな顔をしている幸村君は、そっぽを向いて、
幸「もういいや、先行ってるね」
それだけ言って、去ってしまった。
__私だって、恥ずかしくないわけじゃないんだけどな。
思ったことを、大事なことを、言えないままで終わるのは嫌だ。
そう、思っただけ。
貴「朝食、食べなきゃ」
小さく溜息を吐いて、赤也君に追いつかれる前にと、私は建物の中へと入っていった。
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美沙希(プロフ) - ノエルさん» 3、4話書いたらパスワードは解除する予定です。それまでどうか待っててください。長文失礼しました。 (2015年8月3日 21時) (レス) id: 7832578248 (このIDを非表示/違反報告)
美沙希(プロフ) - ノエルさん» 初めまして、コメントありがとうございます。財前君の小説についてですが、私のミスでもう一度書くことになりまして、大まかな設定は変わりませんが、行動や話の展開などは変わるかもしれないです。一度読んでくださったノエルさんには申し訳ない限りです。 (2015年8月3日 21時) (レス) id: 7832578248 (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - はじめまして!いつも楽しみに見させてもらってます♪特に赤司様の作品がお気に入りです!!これからも頑張ってください!あと、財前君の作品のパスワードを教えてください!! (2015年7月29日 21時) (レス) id: 00d2d4474f (このIDを非表示/違反報告)
美沙希(プロフ) - 苺さん» そうですね、ここは感想を書く場ですし。私も作品の感想を言ってもらえるのが一番嬉しいです。これからも応援、宜しくお願いします。 (2015年5月2日 22時) (レス) id: 8fd5e0cc9a (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 美沙希さん» 私は見習われるほどではありませんよ(苦笑)コメントはこれで終わりにします(´・∀・`)チャットに思われたらお互い大変ですので;;;;コメは時々します!!コメを私がしてなくても更新を楽しみに見ていますので(苦笑)美沙希さん、頑張ってください(^^) (2015年5月2日 22時) (レス) id: b02872e17a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美沙希 | 作成日時:2014年10月27日 22時