86.ジェラシー ページ37
次の日、早朝に目が覚めた私は、特にすることもなかったため外の散歩に出向いていた。
歩いていると、テニスコートのあるであろう方向から音が聞こえてきた。
ボールの、音。
誰か__いる?
走って行ってみると、そこにいたのは白石さんと跡部さん。
貴「お、おはようございます」
そうっと扉を開けてコート内に入ると、2人は驚いたような顔をして私を見る。
__いや、私からしたらこの2人でラリーしてることの方が驚きなんだけど。
白「おはようさん」
跡「お、おう。早いな、お前」
貴「おふたりこそ、今日は練習ないのに」
白「それはお互いさまやろ」
そう言って微笑する白石さん。
貴「見てても、いいですか?」
白「んー……秋月さんも混ざらん?」
跡「ラケットなら貸してやる」
貴「……じゃあ、お言葉に甘えて」
当然のように白石さん&跡部さん対私の図が作られていることに苦笑しながら、私はコートに入る。
本当はテニスしに来たわけじゃないんだけどな。
あんまり楽しかったのと、2人のテニスを観察するのに夢中になって、色んなことを忘れていた。
赤也君が来るまで、時間すら忘れてしまっていた。
切「A先輩!!」
貴「あれ、赤也君?」
切「探しましたよー、もう。そろそろ朝食の時間ッス」
貴「もうそんな時間?早いなあ。……白石さん、跡部さん」
白「うん。もう行かんとな。謙也も来たみたいやし」
跡「ああ。こっちもだぜ」
見れば、謙也さんと日吉さんがこちらへ走って来ている。
貴「じゃあ、朝食会場で。跡部さん、これ、ありがとうございました」
ラケットを渡し、私は赤也君の手を取ってコートを出た。
切「先輩、今日練習なかったんスよー?」
貴「知ってたよ」
切「げ。じゃああれ、自主練ってことッスか?よくやりますねー」
__俺とは打ってくれないくせに。
ボソッと、赤也君は呟く。
貴「……ごめん」
切「俺ダメなのに、他校の奴らと打ってんの見ると、なんかこう……」
赤也君の顔を覗き込んでみると、ビンゴだ。
泣きそうな顔。
切「この合宿で日吉とか財前とかとも仲良くしてたし、試合してたし。……先輩、後輩なら誰でもいいんじゃないんスか?」
泣きそうな顔のまま、不安を吐き出すように赤也君はそう投げかける。
貴「ッ……そんなことない!!」
ギュウと、私は赤也君を抱き締めた。
私の方が身長が低いため、結果、しがみ付いているように見えていたかもしれないが。
__構うものか。
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美沙希(プロフ) - ノエルさん» 3、4話書いたらパスワードは解除する予定です。それまでどうか待っててください。長文失礼しました。 (2015年8月3日 21時) (レス) id: 7832578248 (このIDを非表示/違反報告)
美沙希(プロフ) - ノエルさん» 初めまして、コメントありがとうございます。財前君の小説についてですが、私のミスでもう一度書くことになりまして、大まかな設定は変わりませんが、行動や話の展開などは変わるかもしれないです。一度読んでくださったノエルさんには申し訳ない限りです。 (2015年8月3日 21時) (レス) id: 7832578248 (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - はじめまして!いつも楽しみに見させてもらってます♪特に赤司様の作品がお気に入りです!!これからも頑張ってください!あと、財前君の作品のパスワードを教えてください!! (2015年7月29日 21時) (レス) id: 00d2d4474f (このIDを非表示/違反報告)
美沙希(プロフ) - 苺さん» そうですね、ここは感想を書く場ですし。私も作品の感想を言ってもらえるのが一番嬉しいです。これからも応援、宜しくお願いします。 (2015年5月2日 22時) (レス) id: 8fd5e0cc9a (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 美沙希さん» 私は見習われるほどではありませんよ(苦笑)コメントはこれで終わりにします(´・∀・`)チャットに思われたらお互い大変ですので;;;;コメは時々します!!コメを私がしてなくても更新を楽しみに見ていますので(苦笑)美沙希さん、頑張ってください(^^) (2015年5月2日 22時) (レス) id: b02872e17a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美沙希 | 作成日時:2014年10月27日 22時