【テニプリ】トリップした私には『使命』がありました。２【立海】

７４．不参加者 ページ25

仁「あ！」


部屋を出るとすぐ、仁王君がどこかの角を曲がって顔を出した。

貴「仁王君」

仁「どこいってたんじゃ。この辺りは氷帝の……」

そこまで言って、仁王君は何か勘付いたらしい。

仁「氷帝の部屋に行っとったんか」

貴「えっと、まあ、そうかな」

中のメンバーは違うけど、そんなのどうだっていいや。

仁「……」

貴「どうかした？」

仁「……なんでもないぜよ」

少しむくれたように言った仁王君。

貴「あ、もしかして心配してくれたの？」

仁「……」

貴「ありがとう。嬉しいよ」

仁「……ハア、おまんといると、こう、なんか、調子、狂う」

私に背を向け溜め息をつく仁王君。

仁王君を初めて負かしたような気がして、私はなんだか嬉しくなった。

貴「ふふ。部屋、戻ろっか」

仁「先、行っとって」

貴「うん」

私は上機嫌で部屋に戻った。


因みにこの後、部屋の中で話を聞いていた不二さんが仁王君と鉢合わせし、

不「仲いいんだね」

仁「……うるさい」

と、至極短い会話をしたそうだが、私はその事実を知らない。


私が知っていることなんて、とても少ない。


さて。

その次の日、私はいつかの赤也君のときのように日吉君に話し掛けられた。

＿＿いつか、貴方を倒しますので。

そう言う日吉君の瞳は、１年にしては鋭く大人びていた。


そして、練習に参加していない人を探してくるようにとの命令を受け、私は合宿所の広い敷地を歩いていた。

貴「こんな殆ど山みたいな敷地で、どうやって見つけろって言うの。大体、練習に参加してないって……」

そうぼやきながら歩いていると……いた、１人目。

今日は丸井君と同じ班になれなかったという理由で早々にやる気を喪失し、木の下で随分気持ちよさそうに熟睡している芥川さん。

＿＿よし、策はある。


これが一番時間がかかったが、とりあえず起こし、特別に丸井君と同じ班にしたことを伝えると喜んでコートに走って行った。


貴「氷帝はこれでクリアかな」


次は、立海か四天宝寺か。

しかし、四天宝寺は、部長さんから「多分見つからんし、諦めてもらっても構わへんで」とは言われているが。

貴「なんだったっけ、名前。えーっと、千歳、さん？」

千「なんたい？」

貴「…………」

名前を呼んだだけであっさり出てきてくれたんですけど、この人。

しかも、茂みの中からガサリと。


千「……ん？なんでお前さん、こんなとこにおるばい？」


それはこちらの台詞です。

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