【テニプリ】トリップした私には『使命』がありました。２【立海】

６１．引退 ページ12

全国大会に限らず、私はこういう部活の大会というものに来たことはなかった。

だからこれが、実質、私の記念すべき初めての大会だったのだが。


貴「なんか、あっさりしてたよ」


これが私の感想。


幸「まあ、先輩方も強いからね」

幸村君は苦笑しながらもそのことに誇りを持っているような口調で言う。


そこまで接戦になることもなかったし、うん、あんまり試合に時間がかからなかった。

流石に決勝戦は本気で臨まなければならなかったけど、でも優勝。



学校に戻ると、先輩方から最後に話を受ける。


「これで俺ら３年は引退だ。後は頼んだぞ。次期部長は幸村だ」

お疲れ様でした、と１年２年声を揃えて言うとき、泣いている人がいた。

先輩方の話が終わっても、最後に先輩達と話をしようと群がる部員が殆どだった。


私はそこには行けない。

入部して１ヶ月にも満たない私は、皆ほど先輩に尊敬の念を抱いてはいない。


遠巻きに皆を眺めていると、先輩の１人がこっちに駆け寄ってくるのが見えた。

貴「先輩？どうかしましたか？」

「……その、ちゃんとお前にも言っておこうと思って」

貴「はい」

「短い間だったが、お前が朝早く来て頑張ってくれてたことは感謝してる。ありがとう。この先もテニス部を支えてやってくれ。……立海の今後を頼んだ」

貴「いえ、私の方こそ、ありがとうございました。……あの、朝早く来て頑張ってたって」

「うん？柳から聞いたが」

貴「ああ、やっぱり。……そういうの、あんまり触れられたくはないんですけど」

そう言って、少しだけ笑い合う。



やがて先輩方は揃って去って行く。


姿が見えなく頃にはすっかり皆は気持ちを切り替えていた。




幸「んじゃあ早速、連絡事項があるんだけどさ」

貴「？」

いきなりの幸村君の言葉に驚かなかったと言えば、それは嘘になる。


幸「新レギュラー陣で、他校との合同合宿が決まった。１週間後に、丸１週間。結構長くいなくなるけど、皆それぞれ自主練習に励んでくれ。これはマネージャーも強制参加だから」


貴「……え？」

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