冷めてない ページ5
竜崎｢でも……あの子も分かってるんだ。本当はテニスのせいじゃない事も、いくら探してもお兄さんが居ない事も。｣
手塚｢……彼女は以前テニスをしていたんですか？｣
竜崎｢あぁ、昔1度だけ部活に哀咲の妹……あの子が来ちゃってねぇ。その時にはもうテニスは始めてたみたいだね。｣
手塚｢なるほど。｣
不二｢もしかしてさっきの彼女の打ったテニスボールの事一部始終見てたの？｣
手塚｢……あれだけ騒いでいれば目にも付く。｣
海堂｢……フシュ〜。いつまでも甘ったれてるだけだな。｣
桃城｢そんな言い方はねぇだろー？｣
海堂｢現にそうじゃねぇか。アイツ、本当はテニス好きなんだろ？なのに好きなもんにケチつけて自分の兄貴と親が死んだ理由にして。んな事したって誰も浮かばれねぇじゃねぇか。｣
不二｢うん……そうだね。でも僕は分からなくはないかな。今の彼女にはそれしか今を保つ方法が無いんだと思う。｣
乾｢デリケートな問題だけに、一概には言えないな。海堂の言う事も不二の言う事も間違いでは無い。だがそれを決めるのは俺達ではなく哀咲自身だからな。｣
手塚｢その通りだ。我々が口を挟むことではない。｣
リョーマ｢はぁ……まだまだだね。｣
河村｢え？｣
リョーマ｢そんなの簡単っすよ。ラケット握らせばいいんすよ、さっきみたいに。｣
桃城｢また球打ち返せって言うのかよ？｣
リョーマ｢さっき見たでしょ。ラケット握った時のアイツの顔。……まだ冷めてないっすよ、あの目は。｣
大石｢なるほどな……｣
菊丸｢要するに、哀咲にラケットを握らすきっかけを作ればいいのかにゃ！｣
リョーマ｢そーいう事。それで一番手っ取り早いのが……｣
桃城｢勝負を挑む！って事だな！！｣
不二｢でもいきなり僕達が試合してくれって言ってもおかしな事になるんじゃないかな？｣
乾｢多少荒業だが、作がない訳でも無い。しかし……｣
菊丸｢しかし〜……？｣
乾｢これは越前にしか出来ないな。｣
リョーマ｢……え、俺っすか？｣
桃城｢言い出しっぺだかんなぁ！頑張れよ！｣
手塚｢……はぁ。余り肩入れし過ぎるなよ。何かやるにしろ、部活外でやる事、いいな。｣
一同【はい！】
不二｢ふふ、なんだかんだ手塚も気になってるんじゃない？｣
手塚｢……。｣
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作者名：ぽー | 作成日時：2019年3月6日 3時
