テニスが嫌いな理由 ページ4
大石｢一体何があったんですか？｣
竜崎｢うむ……。｣
桃城｢もう気になりますよ！｣
竜崎｢……そうだな。私の知ってる事は話そうか。お前達が、哀咲が変われるきっかけになるかも知れんしな。｣
……
違う……本当はテニスのせいじゃない。
分かってる……あれは本当に運が無かっただけ。
でも今の私には、テニスのせいにする事で逃げる事しか出来ない。
｢いつまで続けるつもり……？｣
……
5年前
｢ケホッケホッ……！お兄ちゃんごめんね、全国大会決勝戦行けなくてっ……｣
兄｢いいんだよ。お前はゆっくり休んでるんだぞ！｣
｢うん！ケホッケホッ……はぁ……ついてないなぁ……こんな大事な日に熱出しちゃうなんて……。｣
兄｢ははは、まぁお前の応援が無くたって俺達青学は優勝して来るぜ！！お土産話沢山持ってくるからな！｣
母｢ふふ、そうね。Aごめんね、お母さんもお父さんもどーしてもお兄ちゃんの試合見たいの！｣
｢いいんだよ！その代わり私にしっかり教えてね！……お兄ちゃんがヘマしたところ！ｸｽｸｽ！｣
兄｢何だと！？……ったく、困った奴だな。んじゃ、行ってくるよ！！｣
母｢じゃあお母さん、悪いけどAの事お願い！｣
祖母｢はいよぉ。気にしないで行ってきなぁ。｣
父｢すみません、よろしくお願いします。それじゃ、行くぞ！｣
兄｢おう！じゃーな！A！！｣
｢頑張ってね！！｣
……これが兄、そして両親と話した最後の会話だった。
全国大会の会場に向かう途中、トラックと正面衝突で、両親は即死、兄も病院に搬送されて少しで息を引き取った。
私は熱を出して、一緒に行けなかった。
……私だけ助かった。
祖母もショックの余り倒れてしまい、ずっと入院している。
今、私の家には私一人。前はあんなにも賑やかだったのに、今は面影もない。
当時7歳だった私は、家族が居なくなったことをただ単純にテニスのせいにした。
もしも兄がテニスをしていなければ……
全国大会の会場にも向かわなかったのに。
そんな事をずっと考えながら過ぎて行く日々を背に、私はとうとう中学生になった。
だから私は兄を探すかのようにこの学校に入ったのだ。
……
不二｢……そんな事が。｣
越前｢……。｣
海堂｢フシュ〜……。｣
河村｢だからあんなにテニスを毛嫌いしてたんだね。｣
大石｢あぁ……。｣
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作者名：ぽー | 作成日時：2019年3月6日 3時
