引越し ページ25
｢それってどういう……｣
幸村｢確かに大事な家族との思い出が詰まった家から離れるのは辛いかもしれない。けど、離れても決して消えない物もあるだろう？……それは君が1番分かってると思うな。｣
｢……そう……ですよね。一緒に過ごした日々は消える事は無いですよね。｣
幸村｢うん。｣
｢ありがとうございました。少し気が楽になりました。｣
幸村｢良かった。“俺も”君を少しでも救えたようで。｣
｢……俺も？？｣
幸村｢そう。あの日、君が廊下で転んだ日。Aに会ってなかったら、こんなに明るく居れなかったかもしれない。｣
｢そ、そうですか？｣
幸村｢そうだよ。……あの時の俺にとって、どれだけあの出来事に救われたか。｣
｢……それって、私の事馬鹿にしてます？何も無い所で転んだから！｣
幸村｢ははっ、違うよ。本当に、君に会えて良かった。｣
｢……素直に受け止めときます。｣
幸村｢ふふ……ありがとう。｣
……
数日後
｢おばあちゃん！退院おめでとう！｣
祖母｢これこれ、病院で大きい声出しちゃいけないよ。｣
｢あ……ごめんなさい。つい嬉しくて。｣
祖母｢ふふふ……ありがとうね。｣
幸村｢退院おめでとうございます。｣
｢あ、精市くん。ありがとうございます。｣
幸村｢もう君に会えなくなるね……。｣
｢え？何故？｣
幸村｢何故って、Aのおばあさんはもう退院したからこの病院に来る必要無いだろう？｣
｢……精市くんが迷惑じゃなかったらですけど……お見舞いに来ようかなって……思ってました。｣
幸村｢っ……本当かい？｣
｢はい。私精市くんとお話するの好きですし。あ、迷惑だったら言って下さいね！そしたら来な……｣
幸村｢そんな事ないよ。……凄く嬉しい。ありがとう。俺もAと話すの好きだよ。でも無理しないでね。｣
｢良かった。それではまた来ますね！｣
幸村｢あぁ。……待ってるよ。｣
……
自宅
祖母｢さて、家具もほんの一部しか持っていかないから殆ど処分して貰うけど構わないかい？｣
｢……うん。元々私の荷物も全然無いし、引越しはすぐ済みそうだね。｣
祖母｢明日から新しい家だ。Aものびのび学校生活が出来るじゃろ。｣
｢ありがとう、おばあちゃん。｣
これから、きっともっと楽しくなる。
目頭が熱くなりながら見上げた空は、少し歪んでた。
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作者名：ぽー | 作成日時：2019年3月6日 3時
