検索窓
今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:10,690 hit

185話 やっぱり変わらず、 ページ49

桃と英二先輩がまた調子に乗り始めて追加の酒を汲む。

菊「よーし! 今日は呑むぞー!」
桃「呑み明かしましょう!」

大「コラ! 程々にしないと……」

河「今日くらいはいいんじゃないかな」

手「油断せずに行こう」

乾杯の音頭を取り始めた英二先輩と桃を大石先輩が諌める。河村先輩が笑いながら、大石先輩の肩を叩いた。手塚先輩は相変わらずのしかめっ面だが、心做しか口元が綻んでいる気がする。

越「九重先輩、意外とこういう話苦手っすよね」

人には散々酒を入れるくせに、自分はチビチビと酒を啄んでいた越前が、私の隣に陣取る。

貴「うるせえ。てめえにだけは言われたくねえよ」

越「不二先輩が相手だと大変でしょうけど、頑張って」

貴「うるせえお前も頑張れ」

他人事のように話す越前に含みを持たせて返答すると、僅かに動きが止まる。
そして私から顔を逸らすと、近くにいた不二先輩の背中をつついた。


越「……九重先輩が不二先輩と結婚してもいいそうです」

振り返りざまの不二先輩にカマす越前。
河村寿司が歓声と怒号で揺れた。

貴「てめえまじでいい加減にしろよ」

越前に首四の字固めを決めて制裁を加えていると、桃と英二先輩からブーイングの嵐。大石先輩と河村先輩が「まあまあ」と私を諌めるので、ギブアップを宣言していた越前の拘束を解く。


そんな私たちの近くで、堪えるような笑い声。視線を向けなくても誰かはわかった。
先輩は私を助けようとはせず、終始楽しそうにやり取りを見つめていた。

先輩の楽しいポイントは少しズレていて、たまに噛み合わないことがある。普段は変なの、と思うだけで済むが、こういう時の先輩の態度は、如何なものかと思ったり。

私が桃たちの言葉を受け流していると、次第に話題は『結婚』に置き換わっていく。

考えてみれば、私たちももう24・5歳で、周りに結婚して、子どもがいる友人もいる。
「時が経つのは早いよな」「結婚も考える歳か」なんて会話を交わしつつ、私は根に持って不二先輩とは目を合わせない。

先輩は私に嫌われるかも、と思うことは無いのだろうか。その意地悪なところを直さないと、結婚なんてしないぞ。


そんな私の思考を見透かしたように、不二先輩は微笑みながら真面目な口調で言った。

不「とりあえずAは、ちゃんと貯金するところから始めようね」

貴「はい……」

その言葉に、思わず返事をしてしまう。

こんなところで現実的に私を諭す先輩が、私はやっぱり好きなのだ。

あとがき→←184話 約束の話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
239人がお気に入り
設定タグ:テニプリ , 不二周助 , 葉奈   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2022年8月26日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。