検索窓
今日:10 hit、昨日:28 hit、合計:10,763 hit

173話 不二周助の欲心4 ページ37

眠気は一気に消え、そのままベッドから降りてカーテンを開ける。まだ8時だと言うのに日差しは強く照りつけ、地面に狭く濃く影を落としている。

間を開けても仕方が無いので、Aに『連絡ありがとう。練習頑張ってね。もし今日会えなさそうなら、今度でも大丈夫だから、無理しないで』と返信をする。

何度も読み返すが、自分では正解が分からない。もしも『じゃあ話はまた今度』と言われたらどうすればいいのか。こんな小さなやり取りすらも、今は酷く怖かった。



下のリビングからは家族が動き出す音がしていて、とくに午前中の予定はなかったが、とりあえず降りることにした。

リビングをのドアを開けると、母がキッチンで朝食を作り、姉さんが化粧を終えてテレビを見ながら朝食を食べていた。


不「……あれ、裕太?」


裕「げっ、兄貴。休みなのにもう起きたのかよ」

リビングの端で、裕太が振り返って眉を寄せている。

姉「だから言ったじゃない。きっとそろそろ起きてくるわよって」

裕「とっとと出ればよかった」

姉さんと裕太のやり取りに首を傾げていると、母が近くまで来て僕をテーブルに誘導する。そのまま僕の朝食をテーブルに置くと、2人のやり取りに笑いながら僕を見た。

母「裕太も、今日部活お休みで、忘れ物があるってわざわざ取りに来たのよ。だからご飯食べていけばって言ったの」

不「そうだったんだ。おかえり、裕太」

裕太を見て微笑むと、座りが悪そうにソファの上で体を捻った。

家族で朝食を食べ終えると、姉がインタビューがあると言って仕事に出かけた。母も近所の人とランチ前に買い物をするらしく、9時過ぎに家を出た。しかし2人とも、裕太が居るならなるべく早く帰ると言っていたので、おそらく夕方には父以外の家族が揃うだろう。



2人が居なくなると案の定、裕太がソワソワとしだす。僕と2人は少し気まずいが、母と姉が早く帰ってくると言った以上、寮に帰りづらいのだろう。


そんな気持ちを察しつつ、午前中は久しぶりの兄弟水入らずに浸って雑談をしながら、いつものように裕太をからかっていると、不意に携帯にメッセージが入る。

思わず動きを止めるが、裕太の手前、直ぐに持ち直してメッセージを開く。相手は予想通りAで、何気なく裕太から少し距離を取った。

174話 不二周助の欲心5→←172話 不二周助の欲心3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
239人がお気に入り
設定タグ:テニプリ , 不二周助 , 葉奈   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2022年8月26日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。