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150話 とりあえず殴らせろ ページ14


 
テンパる2人に対し、手塚先輩と乾先輩は、英二先輩と桃の一言で正気を取り戻したらしく、ふっと息をついて冷静さを取り戻していた。
河村先輩が「え? そうなの?」とあわあわしながら不二先輩に確認している。
大石先輩は冷静になろうと言語化しているが、自分の発したことが何を意味するのかよく分かっていないようだった。海堂と越前はまだフリーズしている。

私は、一度は裏切られたが唯一事情を知る友人に縋るため、バッと顔を向ける。すると彼女はなぜかきらきらと目を輝かせて不二先輩を見ていた。

奏「不二先輩すご……! イケメンかよ!」

貴「何が?」

真顔でそう聞くと、奏恵はゆっくりと右手を私の顔の前に持ってきた。

貴「ぶっ」

片手で私の両頬を鷲掴みにすると、「よく聞きなさい!」と真剣に私を見つめた。


奏「あんな見た目も中身もイケメンな男子なんてこの世にそう何人もいないんだから、幻滅されないように努力しなさい!」

細かな真意はよくわからなかったが、不二先輩がイケメンなことは素直に認めるので、私は小刻みに頷いて返事をした。


そうしている間に、大石先輩、英二先輩、河村先輩が現状を理解して落ち着いてきたようで、大石先輩は仕切りなおすように「よし」と、少し大きな声を出す。

大「とりあえず、おめでとうでいいのかな」

不「うん。ありがとう」

素直にお礼を言う不二先輩を見ながら、手塚先輩を始めとした3年生が頷く。

桃、海堂、越前は「なんでA?」「不二先輩が決めたなら……でも何で九重……」「なんで九重先輩……?」と険しい顔をしながら、先ほど英二先輩から聞いた弓道部男子と同じことをつぶやいていた。はっ倒したろか。


準備運動の屈伸をやり始めたところで、奏恵と英二先輩が「まあまあ」と私の両腕をがっしり抑えた。

その様子を見ていた桃が、私にゆっくり近づいてくる。その目は今まで見たことのないほど優しく、暖かさと希望に満ち溢れていた。そして両手を、つかまれて身動きの取れない私の両肩に置く。

桃「お前、不二先輩の彼女なんだな。…………お淑やかになれよ」

貴「やっぱ一発殴らせろ!」

少し肌寒い春の夜空に、私の怒声が響き渡った。

151話 お淑やかにはなれない→←149話 暴露



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設定タグ:テニプリ , 不二周助 , 葉奈   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2022年8月26日 17時

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