135話 追撃 ページ48
何かあったかと聞くわりに、どこかのんびりした声音で由良が聞いてくる。私はそれをどう受け取ればいいかわからず、同じように首を傾げてしまった。
貴「え？」
由「だって、なんか変じゃない？ 弓引いてるときはいつも通りだったけど、なんか、上の空っていうか」
貴「そんなことないだろ」
由「そう？ ……そうかなあ」
一度納得しかけて、また私を見て首を傾げた。しつこいな。さすが兄貴。奏恵もそうだが、近くにいる人の動向に敏感すぎる。
目をそらしたらウソがばれると思って、由良を見ながら私は何とか言葉を探した。
貴「納射式が終わってちょっとほっとしたところはあるかな」
私がそう言っても、由良は「うーん」とうなって視線をそらし、何かを思い返すように腕を組んだ。
由「変ってので今思ったけど、不二もなんか珍しく早く帰りたがってたな」
貴「え」
由「いつもは傍観してるのに、今日は珍しく『迷惑になったら悪いから』とか言って先に帰ろうとして……」
由良が立ち止まって言葉を切る。私は平静を装い「へえ、さすが不二先輩、気が利きますね」と声をかけた。しかし由良はそれをガン無視し、その場で何かを考えている。
私は、一緒に待って声をかけて気をそらすべきか、いつもの対応のように冷たくあしらって先に帰るべきか、判断がつかずに意味のない声を発しながら半歩ずつ前に進んだ。
そして、私がもういいか、と前を向こうとした瞬間、由良の視線がゆっくりと私を捉えた。
由「……ねえ、A」
恐ろしいほど平坦な声で名前を呼ばれ、思わず立ち止まって由良を盗み見る。
由「ーーー不二と、何かあったの？」
貴「ないよ！」
由「あったんだ！ なに?!」
思わず食い気味に否定したことで、由良の中で確定事項になってしまったらしい。先ほどの、表情筋どこに捨ててきたんだと言いたくなるような能面から、汚い泣きそうな(というかもう泣いてる)顔を私にぐっと近づけて「なに?!」と迫る。
136話 色々気恥しい空間→←134話 相変わらず変態で嫌になるな
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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます！ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*･ω･)*_ _) (2020年9月7日 20時) (
レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます！仕事お疲れ様です！1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ；∀；)更新遅いですがよろしくお願いします！ (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時：2020年8月11日 1時
