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131話 友人が男前すぎる ページ44

私の心情を見事に、一言一句違わず代弁した奏恵に、「全く持ってその通りでございます」とこうべを垂れた。

そんな私を見て、奏恵がまた大きなため息をつく。私は遠慮がちに、言葉を選びながら口を開いた。


貴「正直、恋愛感情としての『好き』はよくわからない。でも、先輩に対して他の人とは違う気持ちを持っていて、これが恋愛感情ならそうなんだと思う」


奏恵が何か口を挟むかと思ったが、彼女は真剣な顔で私を見ていた。


貴「……でも、あの時の不二先輩……というか、いつからかわかんないけど、今まで不二先輩が私と接するときにしてきてくれたことって、いつもちゃんと真剣だったと思うんだよね。そうやって、真っ直ぐ気持ちを伝えてくれる人に対して、私の気持ちが定まってない状態で、なんか……勢いで言うのは、すごく失礼な感じがしたというか……」


いったんそこで言葉を切る。部室の外からわずかに話し声がして、登校時間に差し掛かっていることがうかがえた。
今日は朝練はなく、この話をするためだけに奏恵に朝練の時間に呼び出されているので、あと30分ほどは猶予がある。

それをわかっていてなのか、奏恵はまだ黙って私を見つめていた。


貴「それに、先輩は『好き』って言っただけで、その後どうするかまでは言ってなくて、だったら私が答えて何か変わるのかなとか、そもそも先輩は私の答えとか求めてるのかとか、例えば付き合うとしてどうすれないいのかとか……なんかいろいろ考えたら、こんな時間に、なってました」


徐々に語尾が小さく窄まっていく自分の声を聞きながら、それでも何とか言い切って恐る恐る奏恵に目線を送る。

奏恵は相変わらず真剣な顔を私に向けて、2、3度瞬きをすると、前のめりだった姿勢を直し、腕を組んで口を開いた。まるで百戦錬磨の仙人のような風格だ。

奏「言いたいことはわかった。でもそれ、時間空けば空くほど声かけづらくなるし、何なら明日卒業式なのに、このままフェードアウトは普通に最低だよ」

貴「……ですよねえ」

薄々感づいていたことをバッサリと告げられ、思い切りうなだれる。


貴「……奏恵、これ、どうすればいいと思う?」


縋るように問いかけると、奏恵はキッと目を吊り上げて、今度こそ切れた。

奏「知るか! 直接不二先輩と話して来い! それができないならきっぱり振れ!」

132話 納射式→←130話 部室=尋問室



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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます!ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _) (2020年9月7日 20時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます!仕事お疲れ様です!1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ;∀;)更新遅いですがよろしくお願いします! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2020年8月11日 1時

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