126話 写真室 ページ39
深く、深くため息を吐いて、私は自分の教室へと戻る。雨ということもあってか、教室には残って勉強している生徒もおらず、既に薄暗く静まり返っていた。
通常授業があれば、今頃昼休みも終わりがけでバタバタしているというのに、人が居ないだけでこうも違うものかと不思議に思う。
私は電気をつけて仕方なく自分の席に座り、鞄から明日のテスト範囲であり、テスト後に提出する課題でもある、まだ1ページも進んでいない問題集を取りだした。
問題集の答えも一緒に出そうとして、入っていないことに気がつく。傘がなくてある意味よかった。これがないと私は何も出来ない。
小さな救済で自分を納得させながら席を立ち、自分の教科書などが入っているロッカーに向かう。全てを置き勉している私のロッカーはいつも雪崩が起きているため、少しだけ隙間を開けて片手を滑り込ませ、中身が落ちないようにして開けなければならない。そうして開けたロッカーから問題集の答えを探していると、指先に心当たりのない硬さの物がぶつかった。
貴「……あ、やっべ」
雪崩を阻止しながら引っ張り出したのは、学校のカメラだった。テスト前に授業の班活動で使って返すのを忘れていた。
私は問題集の答えも取りだしてロッカーを閉め、カメラだけを持って教室を出た。
我が青春学園の写真室には様々な機材が置いてある。普通の教室の、半分ほどしかない広さの部屋の廊下の壁際から、L字型に棚が置いてある。私はカメラには詳しくないので分からないが、触ってはいけないものがその棚の中に入っており、鍵をかけて厳重に保管されている。
私が使うのはその中の入口から入ってすぐ左側の棚で、誰でも職員室に行けば鍵を貸してもらえる。そこには番号のついたカメラが並んでいて、図書室システムの要領でカメラを借用する。まあPCがある訳ではないので手書きで借りた日と返した日を書くのだが。
私はまず職員室へと足を運んだ。顔を出した瞬間、先生たちには驚かれたが、目的のものを伝えると直ぐに鍵の入った棚を見せてくれた。
「……あれ、無いな」
カメラの鍵はあるが、写真室の鍵がないらしい。先生が首を傾げていると、近くにいた先生が「そういえば、さっき3年が持っていってましたよ」と教えてくれた。
写真室誰かいるなら行くの後でいいかな……と、人見知りを発揮しそうになっていると、先生がカメラの鍵だけ渡してきた。
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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます!ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _) (2020年9月7日 20時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます!仕事お疲れ様です!1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ;∀;)更新遅いですがよろしくお願いします! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2020年8月11日 1時