100話 いじわる ページ3
貴「そうなんですよ。だから次はどうしようかなって」
まだあと2冊あるが、そういう会話をすると、まだ決まっていない、次に読む本が楽しみになる。自然と緩む顔を先輩に向けると、先輩は小さく同意を返してくれる。
頷きに合わせて、不二先輩の足が止まった。
区分けを見ると図鑑などが近くに並んでいて、目の前は植物のコーナーのようだ。
貴「サボテンですか」
本棚を見上げ、背表紙を目で追いながら聞くと、先輩が首を振る。
不「幸村や白石と話してたら、サボテン以外の植物も面白そうだなと思って」
貴「あーそういや同室でしたね」
もはや遠い昔のようで、圧倒的に最近の出来事。
幸村さん、白石さん、不二先輩の3人は、絵面だけは穏やかだけど、白石さんは毒草だし、幸村さんはイップスだし、不二先輩は黒いし。何だか想像しただけで穏やかじゃない。
3人が並んで話している姿を思い浮かべ心の中で世界平和を願っていると、隣で本を手に取っている不二先輩が、ふふっと息を漏らす。
訝しげに先輩を見上げて首を傾げると、先輩は短く謝って、手にした本で口元を隠した。
目元がいたずらに笑う。
不「いま、失礼なこと考えてた」
貴「えっ、そんなこと、ないですよ……たぶん」
思わず視線を逸らして答えると、不二先輩は短く笑って私の顔を覗き込んだ。
ちらりと表情を盗み見る。本に口元を隠されているが、下がった目じりとやんわり上がる口角で、どんな顔をしているかなど一目瞭然。
貴「……ちょっと、物騒な組み合わせだなって、……ちょっと、本当にちょっとですよ」
少しだけを強調すると、耳元で不二先輩が小さく吹き出す。横目で見ると、肩を揺らす不二先輩が目に入る。
不「ちょっと、ね」
貴「そうです」
からかうような口調の不二先輩に対して、わざと自信満々に告げると、また不二先輩は短く吹き出した。
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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます!ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _) (2020年9月7日 20時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます!仕事お疲れ様です!1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ;∀;)更新遅いですがよろしくお願いします! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2020年8月11日 1時