113話 似てると思いたくない ページ16
貴「いえ、プレースタイルとしては好きです。点を取る為に積極的に前に出て展開を自分の流れにするってのは、なんか逆に鳳っぽいし。ただやっぱり、どれだけネット際で正確に打ち込める技術があっても、日吉が得意なように、ベースラインから強いストロークで深めにボールを打ち込まれることはあるし、実際それを得意とする人が多い。上に行けは行くほど、戦いづらいスタイルじゃないですかね」
コートでは、宍戸鳳ペアが1ゲーム返して同点。いい試合をしているようで、両者の熱が伝わってきた。
特に言うことも無くなったので、私は無言で試合を観戦する。何となく、跡部さんがこちらを見ている気配がするが、これ以上喋って掘り下げられても、浅い知識がバレてしまうだけだ。
跡「……フッ」
視線に無視を決め込むと、跡部さんが静かに笑う。つい訝しんで視線を向けると、楽しそうに微笑んだ跡部さんが、コートから私に視線を移した。
跡「お前とは気が合う」
貴「冗談は存在だけにしてください」
跡「また連行されたいか?」
貴「ごめんなさい」
光の速さで頭を下げると、跡部さんが声を上げて笑う。笑っていても本気かどうか、底が読めないから怖い。やろうと思えばなんだってできる跡部さんだからこその言葉だ。
跡部さんは、若干高笑いを引き摺りながら口を開いた。
跡「実際、そういう所もあるだろ」
貴「価値観は別としても……現実主義なところはそうなんですかね」
口に出してから、違うかなとも思う。私の場合、現実主義と言うよりは、現状に感情を挟まずにいたいだけだ。たまに、奏恵に怒られることもある。あまり相手の気持ちなどは考えずに、伝えることをオブラートに包まず伝えてしまうから、諍いの原因になる。
あまり自分にとってプラスではない共通点のため、つい語尾がしり窄む。すると跡部さんは、私の陰気を払うように、「そういえば」と、思い出したように続けた。
跡「お前もよく小説を読んでるらしいな」
唐突な話題変換に一瞬呆然として、共通点という話題を掘り下げただけかと肯定する。
貴「読みますよ」
当たり前のように頷いてみて、そういえば跡部さんと会う時に本を読むことはなかったなと思い返す。大体は学校外、なんなら屋外だから、読むタイミングもない。
跡部さんがどうかは知らないが、彼が読書家だという話は聞いたことがある。
貴「跡部さんって、どういう本読むんですか? 論文的な難しいやつ?」
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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます!ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _) (2020年9月7日 20時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます!仕事お疲れ様です!1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ;∀;)更新遅いですがよろしくお願いします! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2020年8月11日 1時