112話 次の世代 ページ15
その点、氷帝は2年生のバランスがいい。樺地くんはプレースタイルを変えられるし、日吉はベースラインからのストロークが得意、鳳はネット際でのテンポの早い試合が得意だ。氷帝は選手層も厚いから、もっと多彩な選手もいるだろう。
貴「難しいな……」
「またその目だな」
頭上から威圧的な声。私は見上げることもせず、コートに視線を落としながら「なんすか」と返す。
跡部さんは私の反応を鼻で笑い、そのまま隣に腰かけた。
跡「どう見る」
この人は相変わらず言葉が足りない。
私はわざとらしく息を漏らし、試合を見ながら口を開いた。
貴「まあ、優勢なのはうちですね」
気力のない私の言葉に、今度は跡部さんがわざとらしく舌打ちを漏らす。
跡「まあいい。それに、お前が考えていたのは次の世代のことだろう」
心を読まれているのではないかと疑ってしまうほどピンポイントな回答に、思わず言葉が詰まり顔を顰める。
跡「うちはともかく、青学はレギュラーが2人しか残らないからな」
貴「そんなんわかんないじゃないですか。3年生は強いですけど、あいつら以外の2年だって強みがあります」
語気を強めた反論にも、跡部さんの余裕の表情は変わらない。
跡「じゃあ何が『難しい』んだ」
どうやら呟きを聞かれていたようだ。
私は責める跡部さんを睨むが、彼はどこ吹く風で顎を反らす。
わざとなのかそうでないのか、バカにしたように私を見つめてくる跡部さんに、つい対抗心がうまれた。
貴「……前から言われてたけど、うちはダブルスが穴で、それを埋めてくれてたのが大石先輩です。でも先輩が卒業すれば、プレーの癖の強い今の部長副部長と組めるやつはそうそういない。さっき言ったみたいに、伸びしろはあるけど、それでもあいつら抜きでシングルスを戦えるほど実力があるやつもいないのが、青学の現状」
言葉を切る。跡部さんは口を挟む気はないようで、視線で続きを促した。
貴「氷帝の現レギュラーは得意なプレーのバランスがいいし、都大会で戦う実力のある準レギュラーがいるから、選手層は厚いでしょう」
試合に意識を向けると、3-2で青学のリード。鳳が下がった所を打ち込まれているようだ。
貴「……まあ、鳳の場合は、この先シングルスも視野に入るなら、サーブ&ボレー以外にも戦い方を見つける必要があると思いますけど」
跡「サーブ&ボレーはつまらないか」
平坦な跡部さんの、言いたいことを分かっているであろう口調に、同調するように否定した。
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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます!ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _) (2020年9月7日 20時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます!仕事お疲れ様です!1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ;∀;)更新遅いですがよろしくお願いします! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2020年8月11日 1時