109話 こんな偶然いらない ページ12
奏恵が隣でワントーン高めの声を上げる。私はせっかくのクレープを落としそうになった。
奏「こんにちは!」
私のため息が奏恵の挨拶にかき消される。指定ジャージ姿の人たちもこちらに手を振りながら、お互いに距離がなくなる。
「偶然やな」
「やあ」
「やっほー!」
「お前らいつも一緒だな」
「よう」
「こんにちは」
忍足さん、大石先輩、英二先輩、向日さん、宍戸さん、鳳が、こちらに言葉をかける。
ニヤつく跡部さんと、ヒラヒラ手を振る不二先輩、メガネのフレームに指を添える乾先輩。何故か睨み合う桃、海堂、日吉。
正直あの集団に関わりたくないのだが、奏恵が意気揚々と距離を縮めていくので、その後ろからクレープを食べながらのっそり顔を出す。
貴「ちわっす」
菊「2人で買い物?」
奏「はい! でももう用事終わって、ダラダラしかけてました」
奏恵は元気よく答えて、青学のメンバーに目を走らせて問いかける。
奏「河村先輩はいないんですか?」
不「タカさんは家の手伝いだって」
奏「そうなんですね。お店継ぐとか河村先輩すごいよね」
奏恵が私に視線を送る。おっしゃる通り、中学生でもう将来を見据えてるなんて、さすが青学の良心だ。
貴「だな」
英二先輩が「タカさんさすがだよねー!」とドヤ顔で同意している横で、宍戸さんが大きく頷いて感心していた。
宍「あいつそんな目標持ってんのか。激アツだぜ。なあ長太郎」
鳳「はい、宍戸さん! 俺達も負けてられませんね!」
相変わらず仲のいい氷帝元ダブルス。顔を見合せながら笑い合う姿からは、もうすぐ卒業という寂しさを感じさせない。
ふと青学黄金ペアを見ると、英二先輩が「俺達も頑張んなきゃね!」と大石先輩とグータッチを交わす。ここも負けず劣らずだ。
爽やかな一面を見られたところで、私はお暇しようと「それじゃ」と踵を返しかける。
奏「そもそも、みなさんはここで何をしていたんですか?」
貴「奏恵さん?」
無理だった。奏恵の一言が着火剤だったのか、睨み合っていた桃と海堂が声を上げた。
桃「いい加減決着つけないといけねーな、いけねーよ」
海「ぶっ潰す」
日「こっちのセリフだ」
触発させたのか、日吉もより一層目付きを鋭くさせる。横にいる鳳が日吉をなだめようとするが、あまり効果はなさそうだ。
いやもうこれ聞かなくてもわかるじゃん状況。偶然出会った天敵同士の一触即発じゃん。
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葉奈(プロフ) - はるるんさん» はるるんさんありがとうございます!ゆっくり更新ですがよろしくお願いします(*・ω・)*_ _) (2020年9月7日 20時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 葉奈さん» 葉奈さんこそお疲れ様です(*´-`)疲れを取ってから更新してくださいね(^_^) (2020年8月31日 23時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - はるるんさん» ありがとうございます!仕事お疲れ様です!1度でもいいから終わらない夏休み経験したいですね( ;∀;)更新遅いですがよろしくお願いします! (2020年8月30日 1時) (レス) id: c1c4e29ce5 (このIDを非表示/違反報告)
はるるん(プロフ) - 毎回面白くて更新楽しみに待ってます(^ ^)私も仕事をしているので終わらない夏休みがあるマダオが羨ましく思います笑 (2020年8月18日 22時) (レス) id: 3a9f70176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2020年8月11日 1時