44話 たどり着いた僻地 ページ45
新幹線で約2時間。合宿所の最寄りまで1時間、駅についたら40分弱の道のり。――――と、聞いていた。
こんな辺鄙な山奥なんて聞いていない。
あの野郎絶対に許さねえ。私を来させたこと絶対に後悔させてやる。
悶々と念を送りながら1時間弱の山道を登り切り、時刻は昼の2時。
迷ったりしていたら、こんな時間になってしまった。
……私は今日中に帰れるんだろうか。
無理な気がする。
そんな心配もよそに、目の前には何の意味があるのかというほど大きな鉄の扉。
まってこれ私自分で開けるの? あいつのテニス・日常用品一式持ってきてやったのに。
つかさっき送ったメールの返信が来ないんですが。
貴「どうすりゃいんだ、これ」
途方に暮れそうになり、ため息とともに愚痴をこぼしたその瞬間、
「九重Aさんですか?」
ふと声がかかる。
驚いて顔を上げると、でかい……というより細長い長髪の、意志の弱そうな人が、人ひとり通れそうな門を開けた隙間に立っていた。
貴「は、はい。そうです」
齋「ここのメンタルコーチをしております、齋藤至と言います。あなたのことは由良さんから聞いていますよ」
貴「あ、ありがとうございます。妹の九重Aです。兄がお世話になっています」
齋「お兄さんからは想像つかないほど礼儀正しいですね」
そう言った齋藤さんは、次の瞬間、しまったというような顔をして、すみませんと謝ってくる。
貴「いえ、もっと言ってやってください」
そう返すと、齋藤さんは少し笑いを漏らして、中へと勧めてくれた。
失礼します、なんていい子ぶって中に入ると、そこは想像していたよりもずっと広い。
目の前の道はどこに続いているんだろうか。周りは森だが、もしかしてこの向こうにも何かあったりするのか。
だとしたらここはかなり広いのではないだろうか。
由良が言うには、この合宿には1年のころから誘われていたらしい。初耳だった。
今年はもう部も引退しているから受けたと言っていた。
あいつが『部活動』にこだわる理由は、まあ、わからなくもないけれど。
齋「大変だったでしょう。こんな遠くまで」
貴「まあ、多少は。東京都、今朝から雪も降っていたので、電車止まるんじゃないかって少し冷や冷やしてましたけど」
齋「そうですか、東京は雪が……おっと、あれがメインコートですよ」
しばらく雑談をしながら歩くと、見えてきたのはいくつもあるテニスコート。
貴「広っ……」
そこでは何人か練習をしているようだ。
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葉奈(プロフ) - そうですww作者がにこにー推しですww (2015年5月17日 19時) (レス) id: b46f08eacb (このIDを非表示/違反報告)
ユール - えーと…にこにー? (2015年5月15日 18時) (レス) id: 63bdae9473 (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - ありがとうございます!がんばって更新しますのでよろしくお願いします!! (2014年11月30日 18時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
yunyun - 合格、おめでとうございます。本当に良かったですね。更新、楽しみにしてますね。 (2014年11月30日 15時) (レス) id: 329a32a11c (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - 雪代さん» ありがとうございます!!! 頑張りますのでよろしくお願いします! (2014年11月10日 22時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2013年10月27日 21時