【テニスの王子様】遠回しな君の隣【不二周助】

43話　やっぱり兄妹 ページ44

はた迷惑な話だ。
昔からこうだった。

いつも自分の都合で周り振り回して、当の本人は楽しそうに傍観。

ムカつくけれど、それが由良だ。



貴「なんで私が……」

由『ねえお願いぃ!!』


普通の女子にだったら少し微笑んで、「お願いしていいかな」なんてすまし顔でそう言うくせに、私に対してはこれだ。
まあ兄妹だし、これが普通なんだろうけど。というか、私から見たらこっちが普通の由良だ。

貴「母さんか父さんにでも頼めば。つか郵送とかでやればいいだろ」

由『やだAがいいの！ 会いたいの！』

今本気で鳥肌が立った。本当に恐ろしい男だ。
誰が見ているわけでも聞いているわけでもないが、兄貴が電話の向こう口でだだをこねるというこの状況に、妹として若干恥ずかしさを感じる。

私は携帯を少し耳から話して、由良の声を遠ざけた。


由『俺来週には帰国してるから！ その時にちょろっとでいいから!! ねえAお願いぃぃ!!』


まるで小学生以下の駄々っ子だ。こんなのがプロに注目されてる選手だとは……スカウトよ、もっと見る目を養え。

由『いいでしょ!? ほんとちょっと顔見るだけ！』

貴「おいお前最初の趣旨忘れてんじゃねえか」

由『あ。……だからAの顔見るついでに俺のラケットを……あれ？ 逆？』

貴「はぁ……もういいよわかったよ。行けばいいんだろ行けば。その代り予定はこっちに合わせろよ」

由『やったああああ!! ありがとうA愛してる!! 愛してるばんさーい！』

貴「ラ○ライバーの前でその単語発するとはいい度胸だな」

由『あ、そういやAガチ勢だったね』

貴「にこ○ーは俺の天使。基本箱推しだけど」

由『禿同』


最後の方は、最近発売したゲームや今期のアニメだと何が面白かったかなんて話をしばらくしていた。
ただ海外からなので通話代が馬鹿にならない。

由良も私も久しぶりに全力でそういった類の話をしたので少し名残惜しいが、日々働いて稼いでくれている父に感謝して通話を切った。

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