27話 暫しのお別れ ページ28
白「ホンマにすまんかったな」
白石さんはホームを背にしてそう言った。
四天宝寺の人たちといえば、売店でお土産を選んでいたり、軽食を買っていたり。
銀さんと小石川さんも合流し、時刻は6時を回ろうとしていた。
謙「ふうは?」
貴「は?」
横に並んだ謙也さんの口には、パンが詰め込まれていた。
そして差し出された手にはおにぎり。
ああ、「食うか?」って聞いたのか。
貴「いりませんよ。つか、もうそろそろ新幹線来ますよ。見送りしてやってんですから、もっとなんかないんですか」
謙「だからやるて。おにぎり」
しつこく突き出してくるおにぎり。
何なんだこの人。なんでこんなに推してんの?
貴「いやだからいらないしね。どっちかっつーと金ちゃんこのままここにいてくれて構わないんですけど。というかもう青学来ない、金ちゃん?」
金「せやかて、コシマエおらんのやろ」
貴「手塚先輩居るよ」
金「……うーん」
白「そこは悩んだらあかんで、金ちゃん」
貴「四天宝寺揺らいだな」
謙「性格わるっ」
貴「すみませーんねー、なんたってあの九重由良の妹ですからぁ、折り紙付きなんですよぉー」
千「きしょくんわるか」
貴「わかりましたよニュアンスで。キモイってことですよね。つまりきもいってことですよね。ええ知ってますよ。わかってましたよそんなことは」
心の中で語尾伸ばしに後悔しつつ下を向いて拗ねていると、ホームに放送が入る。
新幹線は『のぞみ』らしい。
小「あら、来たみたいね」
金「A! ホンマにありがとうな!」
貴「私も楽しかったよ! (はあ、金ちゃんめっちゃかわいいマジかわいいぐうかわ嫁に来いよ)」
一「顔に出まくってんで、心ん中」
肘で脇をつつかれながら一氏さんに指摘される。
内緒で教えてくれたのはありがたいけど、金ちゃん以外にはばれてたみたいだよ。
ありがとう心優しい一氏さん。
一気にホームが騒がしくなり、すごい速さで新幹線が過ぎていく。
徐々にスピードは緩み、目の前にぴたりと扉がついた。
白「ホンマ、ありがとうな」
謙「今度は大阪来ぃ」
小「まったね!」
一「そんじゃな、Aちゃん」
銀「世話んなったな」
小石「ありがとうな」
千「また来るたい」
金「A! また遊ぼうな!!」
財「……どうも」
それぞれが言葉を残すと、一拍後に扉が閉まった。
ガラス越しに手を振りながら笑っている。
それに返すと、のぞみがまたゆっくりと動き始めた。
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葉奈(プロフ) - そうですww作者がにこにー推しですww (2015年5月17日 19時) (レス) id: b46f08eacb (このIDを非表示/違反報告)
ユール - えーと…にこにー? (2015年5月15日 18時) (レス) id: 63bdae9473 (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - ありがとうございます!がんばって更新しますのでよろしくお願いします!! (2014年11月30日 18時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
yunyun - 合格、おめでとうございます。本当に良かったですね。更新、楽しみにしてますね。 (2014年11月30日 15時) (レス) id: 329a32a11c (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - 雪代さん» ありがとうございます!!! 頑張りますのでよろしくお願いします! (2014年11月10日 22時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2013年10月27日 21時