【テニスの王子様】遠回しな君の隣【不二周助】

15話　幸村さんと不二先輩 ページ16

貴「あの人ホント何なの」

私は見えなくなった幸村さんの背中を思い出しながら言う。


切「うちの部長、切れるとマジ怖えんだよ」

貴「一見真田さんのほうが怖そうだけどな」

切「副部長はいつも怖いけど、部長はいつも優しいだけに怒った時がさ」

貴「ああ、なる。というかイップスだろ問題は。あれやられたらひとたまりもねえぞ」

切「越前大変そうだったなー」

貴「他人事か。まあ私もだけど」

切「それより、部長と不二さんって似てると思わねえ？」

貴「話し急激に転換したな。まあでもそれは私も思ってた。雰囲気だよな」

切「ちょっときれいで女っぽいところとかだろ」

貴「あとあれな。切れるとオーラが変わるところな。不二先輩が開眼したら要注意」

切「……」

貴「お前今関東大会思い出したろ」

切「……まぁ」


立海大切原との仲は、結構良好だったりする。
関東大会の前、越前にけが負わせた疑惑とか、関東大会の時、不二先輩にわざとけが負わせたりだとか。
こいつのやり方はいささか気に入らない点が多いし、今もそれは変わりない。
はじめは嫌いだったけど、悪い奴じゃない。


貴「あんときの不二先輩マジかっこよかったわ」

切「うっせえ」

貴「いやべつに君を卑下しているわけじゃないよ、うん」

切「目が泳いでんぞこのやろう」


切原がそう言って頬をつねってくる。

やられたらやり返す、10000倍返しだ。


切「い、ひたひひたひ!!!!」

貴「ほっひはってひはいは！」(こっちだって痛いわ)

しばらくこんなことをつづけていると、いい加減つねられた頬がじりじりと痛い。
つねっている指にも限界が来た。

貴「あー……」

切「何してんだ俺ら」

貴「知るか」


息をついてつままれていた頬をさする。

すると、不意に視界に不二先輩が見えた。
どうやらこれから試合に乱入するようだ。


見たい。


見たい、が。



貴「ってこんなところでだべっている場合じゃない」

切「ああ、そういやお前袴だな」

貴「部活中なの忘れてたわ。んじゃ、がんばってくれたまえ」

切「おう」


私は切原やほかの人たちに挨拶をした後、金ちゃんを心行くまで抱きしめて、不二先輩の試合に後ろ髪をひかれながら部活にダッシュで戻って行った。

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