36話 日常的な ページ37
貴「あ、じゃあマジ話なんだ」
携帯を肩で耳に押し付けながら、私は自室でPCをいじっていた。
相手は由良。
今日桃の言っていたことが本当なのか、少し確認したかったのだ。
だが、あの話は本当らしい。
監督たちがそう言っていたと、由良が楽しそうに話していた。
まあ楽しいだろうな。後輩が半殴り込みの形で合宿に参加するんだから。
『あー、でも俺、あいつらにすぐには会えねえな』
貴「え? なんで?」
タイプの手を止め、私は携帯を持ちなおした。
私が聞き返すと、電話の向こうで、由良が小さく唸る。
『俺、海外遠征行くんだよね。明日から』
貴「はぁ?」
本日2度目。間抜けな声が出てしまったが、またもや気にする余裕はない。
向こうで由良の忍び笑いが聞こえる。ムカつく。
貴「毎回毎回、唐突すぎだろお前」
ため息交じりにそういうと、まあまあと諌められる。
『だって俺のせいじゃないしね。それに、海外で試合できるなんてなかなかないから、いい経験でしょ』
貴「まあ、そうなんだろうけど……」
こいつ、本当にプロになる気があるのだろうか。
そう考えると、ため息が出そうになる。
『あ、なになに。もしかしてさみしいの? 全く大丈夫だよー! ちゃんと毎日電話するって……』
貴「消えろ」
思い切りボタンを押す。やべえミシっていった、壊れなくてよかった。
こっちは心配しているのに、なんて兄貴だ。
心配かけさせないようにしてるってのは、なんとなくわかるけど。
由良は基本的に何でもひとりでできてしまうから、周りはそれが当たり前になる。だけど、由良だってまだ18歳の高校生だ。人並みの不安や心配だってあるだろう。
それをああやってうまく隠すのが、あいつの苛立ちポイントでもある。
貴「もう一生心配してやらねえぞ、クソ兄貴」
直後着信が入ったが、私は憂さ晴らしにそれを無視し、嬉々としてPCに向かった。
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葉奈(プロフ) - そうですww作者がにこにー推しですww (2015年5月17日 19時) (レス) id: b46f08eacb (このIDを非表示/違反報告)
ユール - えーと…にこにー? (2015年5月15日 18時) (レス) id: 63bdae9473 (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - ありがとうございます!がんばって更新しますのでよろしくお願いします!! (2014年11月30日 18時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
yunyun - 合格、おめでとうございます。本当に良かったですね。更新、楽しみにしてますね。 (2014年11月30日 15時) (レス) id: 329a32a11c (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - 雪代さん» ありがとうございます!!! 頑張りますのでよろしくお願いします! (2014年11月10日 22時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2013年10月27日 21時