眼鏡の災難 ページ1
チャリンッ
「なんや…ついてへんわぁ」
真っ黒なデザインがお気に入りである財布の中身を確認したところ、俺忍足侑士の所持金は現在ワンコイン、つまり100円だった。
「このジュース110円なんやけど…」
1円を馬鹿にする奴は1円に泣くならぬ10円に泣くやわ、こんなことなら今日の部活の帰りにがっくんにんまい棒奢るんじゃなかった。
と、一瞬の後悔がよぎったがそんなこと言っていても仕方ない。
時刻は午後8時半、また明日も朝練だというのに、これでじゃすぐに朝が来るな、と思ったが故のため息を一つ吐き、財布を鞄にしまって家の方向へ歩を進めた。
「ん?なんや?」
途端、自分の視界の左側に映った人影。見たところ四、五人いるが、1人は氷帝の制服を着た女子。その女子を高校生くらいの男達が囲んでいる。
おいおい、まさか、ナンパか、リンチか?まためんどくさいところに居合わせてもうたわ、と、本日二度目のため息をついた。
「おいおいお嬢ちゃん、だからさぁ、ちょっとでいいから遊ぼうぜって言ってんだよ」
「氷帝ってことは、お嬢様なんだろ?」
「金持ってるんだよね〜?」
『…』
あぁ、ナンパかと思ったら、金目的。
あの子困っとるやん、これは助けてあげなあかんなぁ。
「さ、わかったら金出せよ」
『っ…』
高校生の男がお嬢ちゃんの腕をガッと掴んだ。
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作者名:rui | 作成日時:2020年4月25日 23時