ぬくもり2

ひーくんとお出かけ3 ページ10

照side


照「行こっか。」


A「うん！」


車から降りてAの手を握ると、ニコニコしながら握り返してくれた。


今回は、もちろん思い出作りが一番だけど、


Aに外の世界を見せてやりたいってのもある。


今までほとんど宝生の中で過ごしてきたAに、


外はこんなに広いんだって、楽しいこともいっぱいあるんだって、教えてあげたい。


．


照「Aはどれがいい？」


まず来たタピオカ屋さんの列から少し離れたところで、Aにメニュー表を見せる。


A「…わかんない…」


小さな声で呟いたAは困った顔。


今まで自分の欲を出さずに、言われたことをこなしてきたA。


行先だって当日の服選びだって、Aは意見を言っていない。


少しずつでいい、そこも変えていけたらいいな。




照「じゃぁ同じのにする？俺はミルクティー。」


A「うん♪」




戸惑いでいっぱいだった顔が安心に変わり、


俺と同じと言うと、笑顔があふれる。


純粋で優しくて、そんなこの子が大好きで。


でもやっぱり日々のいろんなところに、


9年ほどもやり続けてきた週間や考え方の一つ一つがちりばめられてる。


自分の気持ちに気づき、それを言ってもいいこと、


ほしいものはほしいって言っていいこと、


涙を見せてもいいこと、


そして何より自分を愛せること。


ゆっくりゆっくり知って行ってくれたらいいんだ。

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