完璧なんて存在しない【天童覚】

not perfect.4 ページ5

「あ、沢乙さんおはよ〜」

『おはよう』


まるで昨日の彼女が嘘のように完璧な仮面を被った彼女は、笑顔をはりつけてクラスメートたちに対応する

昨日のあのクイズ番組みた？私、全然わかんなかったぁ〜

確かに、あのクイズ番組の問題難しいよね

沢乙さん、ここ教えてくれ！頼む！今日当たるんだけど全ｯ然わからないんだ…

いいよ、あぁ…ここね。ここはね…

沢乙さん、駅前のパン屋さんの割引券あるけど一緒に行かない？美味しいレモンパイもあるって！

レモンパイ！？私、大好物なんだ〜

一人一人との会話に一切彼女の本性は見えない

本当に昨日月島と話していたのは彼女だろうか

本性を知らない彼らから見れば沢乙Aという存在は

〝頭も良くて、運動もできて、美人で、親しみやすい。一緒にいてとてもおもしろい人〟

そんな完璧少女

そんな彼女でも


(あれ、あのコ…)


やらかしてしまうことだってある

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