数学サタデイ【スピンオフ】～Winter’s Tale～ (ページ7)

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減法ページ7

いくつかの講義と、バイトを終えてようやくの帰宅。
暖房とテレビのスイッチを入れる。
少しゆっくりしようと思ったところでインターホンが鳴った。

「俺のお母さんがAちゃんのこと心配しててさ、ちゃんと食べてるかって。」

「私は大丈夫。お母さまにありがとうって伝えておいて。」

パクチャニョルがお裾分けを持ってきた。

パク母お手製のラザニアだ。おいしそう。

こっちで一人暮らしを始めてから、彼の家には何かとお世話になっている。

夕飯に招いてくれたりと、私をあたたかく受け入れてくれた。

最初のうちはチャニョルの彼女でしょ？なんて言っていたパク母だけど、今ではやっと友達だと理解してくれたみたいだ。

「チャニョルのお母さまの料理、本当に大好き。おいしい。」

「このスープもおいしいけどな。これAちゃんが作ったの？」

「ま、まぁね、お湯を注いだだけだけど。」

なんだよー！と、ズッコケるパクチャニョル。

彼がお裾分けを持ってくるときはなぜか必ず2人前持ってくる。
そうしてズケズケと上がり込み、私の居間で夕食をとり、帰って行く。

「食べ終わったらお皿洗ってから帰ってよね。」

「えーお裾分け恵んであげたのにそこまで俺にやらせるのか、ひどい女ー」

「恵んでくれたのはお母さまでしょう、あとなんでここで食べてくの、毎回こんなことしてたら私そろそろチャニョルの彼女に殺される。」

「あー、たまにAちゃんの話すると嫉妬してる。それがまた可愛いんだよ、だから俺いつも言ってあげんの、Aちゃんより君のが100倍可愛いよって」

キャッキャッと女子高生のようなノリで語るデカ男。

「はー？腹立つ。まあ別にあんたに可愛いと思われなくてもいいですけどね！」

「なんだよ、私にはキムジュンミョンがいるからいいですって？あの人より俺の方がかっこいいと思うけど真面目に、」

「寝言は寝て言って。この屑男」

私はパクチャニョルの大きな耳を引っ張った。
痛い痛い、と涙目になっている。

「さっさと食べてさっさと帰れ！」

「嫌だよ外寒そうじゃん、泊めてよ」

パクチャニョルはカーテンを開けて外の様子を眺めた。

「あ。雪だ。」

「そんなこと言っても絶対に泊めてやらないから、歩いて来れる距離なんだから、」

仕方なく窓に目をやると、ふわりふわりと雪が降り始めていた。

色がなく寒々しい外の景色。
部屋の中にはオレンジ色の明かりがあたたかく灯っている。