数学サタデイ【スピンオフ】～Winter’s Tale～ (ページ13)

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除法ページ13

目が覚めると、ほどよい気だるさを感じた。
窓の外の眩しさに負けて枕に顔を埋める。
鼻腔に広がるさわやかな香りから、自分のものではないことに気がついた。

「起きましたか？」

顔を上げると、キムジュンミョンが私を上から覗き込んでいた。
跳ねている髪を見る限り、起きてそんなに経っていなさそうだ。

彼はおはよう、と言うとベッドに腰掛け、私の頬に触れようと手を伸ばす。

「やめてよ」

私はその手から逃れ、勢いよく枕に突っ伏した。

「お願いだから来ないで」

今はなんだか、彼の顔を見たくないし声も聞きたくないのだ。

キムジュンミョンは、女の子って難しいなぁ、なんて呟きながらベッドを離れた。

私もそう思う。

あまりに甘い時間を過ごすと心が飽和状態になってしまって、そんな自分がたまらなく恥ずかしくなる。

私もまだ子供だな、そう思った。

私はしばらくうだうだした後に、彼に謝ることに決めた。

今日は私が好きなことに付き合ってもらう日だ。

いつも出かける時は彼がプランニングしてくれている。
今年のクリスマスも既にどこかに行く計画を立てていたみたいだけど、たまには自分で決めたい、という私のわがままに快く承諾してくれた。

そんな日に、喧嘩などするべきではない。

私の一方的な八つ当たりなわけだし、向こうから折れるのを待つのはあまりに勝手だ。

「こっちに来て、お願い」

おそるおそる声をかける。

「さっきは来ないでって言ったのに？」

キムジュンミョンは呆れたように笑みを浮かべた。

私がコクリと頷くと、向かい合わせの形でベッドに座った。

「勝手に機嫌悪くしてごめんなさい。」

いじけたように俯き加減で話す。
ちらりと視線を合わせると、優しく抱き寄せられた。

「めずらしいね、Aさんがそんなことを言うのは。」

「だって私あまりにも子供みたいなんだもん。」

駄々をこねるように彼の胸板に強めに体重をかけた。

「僕はそんなことじゃ怒らないよ。」

そう言う彼の表情が見たくて顔を上げる。

視線が合うと、キムジュンミョンは私の額にキスを落とした。

「大人ですから。」

私は今日も、この人には勝てないと思った。