数学サタデイ【スピンオフ】～Winter’s Tale～ (ページ5)

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テーブルの上のキャンドルが淡い明かりを灯す。

最後に運ばれて来た、可愛らしいフランボワーズのケーキに胸がときめいた。

「実は私、ここのお店ずっと来てみたかったの。すごく気に入った。」

「そうだったんだね、ならよかった。」

キムジュンミョンが優しく微笑む。

思わずつられて私も目を細めて返した。

「これも喜んでくれると良いんだけど、」

そう言うと、彼は背もたれ側に隠して持っていた小さな箱を出した。

私が受け取れば、開けてみて、というように目で合図をされる。

美しい包装を丁寧に開けると、
カモミールをモチーフにした指輪とネックレス。
ヴィンテージものだろうか、ただきらびやかなのではなく、とても魅力的なデザインをしている。

あまりにも私の好みの的を射ていたものだから、驚いて感想を言いそびれそうになる。

「どうしてこんなにすてきなものを？」

「似合うものを選んだだけです。」

「あぁ、そうそう、それなりに高価でしたよ？」

感動している私に対して、彼は冗談を言う余裕があるようで。
やっぱり敵わないなってちょっとムカついた。

「そんなに貢いでくれなくても、私はあなたが好きなのに。」

仕返しがしたくて、私は彼の目をじっと見つめて言った。

彼はあはは、と笑った。
私は、視線が下にそらされたのを見逃さなかった。

「すごく気分がいいので、もう一度言ってください」

「、、、死んでも嫌です。」

ディナーを終えて、私たちは帰路につく。

「ところで今晩、僕は君を送り届けるべきでしょうか。」

運転席のキムジュンミョンが尋ねた。

「運転手さんにお任せします。」

助手席の窓から見える街の灯、きっといつかふいに思い出すような、忘れられないものになるんだろうな、なんとなくそう思った。