Tea for two 【短編集】 (ページ10)

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black coffee*2 ページ10

今日こそは何か話しかけてみようと、毎回思ってはいるけれど、なかなか話のキッカケを作れずにいた。

いつも遠目で観察しているだけ。気持ち悪いのは重々承知である。

なんとか行動を起こさなければ、と同じ講義の時はせめて近くの席に座る。

今日もただドギョンスを眺めているだけで90分が終わった。

終業チャイムが鳴り、帰ろうと荷物をまとめていると、同級生数人が教壇に立った。

「今日で前期の授業終わりだし、今晩ここのみんなで飲み会しませんか！」

教室は一気ににぎやかになり、前方にみんなが集まりだす。

「Aも行こうよ！」

「私はいいや。ごめんね。」

私は友達の誘いを断って教室を出ようと階段を降りていく。

ドギョンスと目が合った。

ドギョンスは行くのかな、あぁ、授業以外の彼はどんな顔をするんだろう。

彼が行くなら、行きたかったなぁ。

ちょっと落胆しながらそっと目をそらした。

「っ、、、！」

ねぇ、と、肩に触れられ振り返ると大きな瞳と再び目が合った。

「行かないの、Aさん。」

「え、あ、う、うん、いか、ないよ、」

ドギョンスに呼び止められるなんて、予想外の出来事で対応しきれない。

「何か予定があるの？」

「えっ、あの、私、お酒がね、飲めなくて、」

ドギョンスは話を続けてと促すような視線を私に向ける。

「、、、体に合わないの、大学生だっていうのに飲み会が楽しめないなんて、悲しいよね、はは、」

「そうかな？僕はお酒が飲めないわけじゃないけどあんまり好きじゃないかな、飲み会。」

そう言って彼はにっこりと笑った。

初めて見る顔だった。

なんだか可愛い。