Tea for two 【短編集】 (ページ6)

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cappuccino*3 ページ6

ある日、彼女からデートの誘いを受けた。

僕の体調はわりと良好だったのに対し、彼女の治療は結構大変で、普段は外出を許可されていなかった。
その日は外出を許可してもらったみたいで、とても喜んでいた。

それが意味することを、僕は薄々勘付いていた。

あまり遠くには行ってはいけないと言われたので、近所の公園を散策した。

「ねぇ、カプチーノって飲んだことある？」

彼女が言った。
普段座って話すことが多くて気づかなかったけど、意外と僕ら身長差がある。見上げるように話す姿が愛おしかった。

「うーん、飲んだことないかな～？あんまり意識したことないからわからないけど。君はカプチーノが好き？」

「うん、今は体調のせいで甘いもの飲めないんだけどね。すごくおいしいんだよ。ふわふわしていて、とっても甘いの。ちょうどレイくんみたいに。」

それからしばらくしないうちに、彼女には会えなくなった。

そして、僕は新しいことを始めた。

バイトだ。

週に一度なら構わないとお医者さんに言われ、少ないシフトでも働かせてくれるカフェを探した。

僕はどうしても、おいしいカプチーノを作れるようになりたかった。

学校すらまともに出席していない僕にとって、接客をすることは難しいんじゃないかとも思ったけど、これが意外と適職だった。

毎週土曜日。

僕が出勤する日。

お客さんとお話をすることが1週間のうちで一番の楽しみだった。

数年経つと、なんだか体調も優れてきて、週に2回入ることもあったりした。

僕はいつも、残り少ない人生を変えてくれたあの子を想った。

君のおかげで生きるのが楽しい。