Tea for two 【短編集】 (ページ2)

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hot cocoa *2 ページ2

紅く色付く木の葉を背景に写真を撮るカップル。
幸せそうだ。

それに比べて私は、

「本当、嫌になっちゃう。」

「だよな～あいつら、こんなとこでイチャつくな！」

消えるはずの独り言に返答。
私は驚いて振り向く。

「わっ、びっくりした、なんだ、あんたか。」

ベッキョンは私の隣に腰掛けた。

「ん。」

そしてホットココアを差し出した。

「それなら足りてる。」

私はソラにもらったココアの缶を振ってみせた。

「受け取れって。それもう冷めてんだろ。」

ベッキョンは私の手から飲みかけの冷めたココアを奪うと一気に飲み干した。

「ちょっと！何勝手に！」

「だから買ってきてあげたんじゃん～」

「、、、じゃあ、ありがとう？なのかなこれは。」

仕方なく受け取る。じんわりと温かい。

「さっきはごめんね。微妙な空気にしちゃって。もうこんな歳にもなるのに流行りのモデルなんかに夢中になって、周りに気遣わせちゃって、」

わかって話しているのに、涙が出そうになる。

この気持ちはセフンの熱愛騒ぎに対してではない。
モデルというあまりに遠い存在に一丁前に焦がれている自分の情けなさに対してだ。

「別に？誰に恋しようが自由じゃん。」

「え？」

妙に真面目なテンションの彼に戸惑う。
いつものように、馬鹿だな～って笑って欲しかったのに。

「いや、そりゃわかるよ俺だって。Aの気持ち。この世の誰よりわかる気がするよ。」

彼は前を向いたまま、淡々と話す。

「好きな人がさ、自分が足元にも及ばないくらいすっごい綺麗な人に恋してるわけでしょ、それってめちゃくちゃつらいよな。」

「俺はオ・セフンみたいに有名じゃないし、背も高くない。どうやっても勝てないだろ？俺がどれだけもどかしいか、わかる？」

あまりに突然で、ベッキョンの言っていることを理解するのに数秒を要した。

私は驚いていた。
驚いていながら、不思議な心地を感じていた。
初めて感じる感情だった。なんて形容したらいいのかわからないけど、嬉しいような、痛いような。そして自分の愚かさに呆れた。

「あーあ、何言ってんだ俺。まぁいいよ、忘れて。」

空を見上げる彼の目は少し潤んで見えた。

冷たい風が吹く。

手の中のココアはまだ温かい。