29.十分条件 ページ29
真っ白なカーテンの隙間、差し込む光に目を覚ます。
枕元の時計を見れば、すでに午前9時を過ぎる頃だった。
そんなに長くは眠っていないはずなのに。
きのう、私たちはベッドの上で長いこと話をしていた。
いろいろなことを話した。
本当にくだらない話題から、割とシリアスなことまで。
いつもと違うシチュエーションに気持ちも解放されたのか、私は余計なことをたくさん話してしまったような気がする。
ここに来る前に読んでた本の話、カフェのお兄さんがすてきだという話、それと、パクチャニョルの愚痴を少し。
それで私はちょっとだけ、泣いてしまったような。
昨晩の記憶を辿ると、どこまでが現実でどこからが夢なのかの区別がつかない。
「起きたの？おはようございます」
15センチくらい離れたところにある彼の唇が動く。
「私、泣いたのならごめんなさい。」
「ははは、怖い夢を見たんじゃない？」
目にかかった前髪を優しく払う彼の手はこわいくらいに白い。
この距離感に恥ずかしさを感じるよりも先に、美しさに息をのむ。
この長い睫毛、男の人なのに。
本当に血の通った人間なのか危ういほどに美しい瞳と肌。思わず触れたくなる。
「そうかも。でも嫌な夢じゃなかった。」
「誰かが抱きしめてくれたから。」
私はキムジュンミョンの胸元に顔をうずめた。
バスローブから覗く彼の素肌に自分の額が当たる。
どうしてこんな大胆なことができようって、だってこれもきっと夢でしょう。
「僕も昨日、誰かを抱きしめる夢を見たよ。」
「こんな風に。」
彼の手が後頭部と腰に回される。
香りも温度も肌触りも、とっても心地良くてもう一度眠っちゃいそうだった。
子供の私に本当のところはわからないけど、お酒に酔うってきっとこんな感じだろうと思った。
夢か現実かよくわからなくて、自分が自分じゃないみたいに思うが故、大胆になる。
「私だけがいい、ここでこうすることのできる女の子が私だけならいい。」
「Aさんはいつでもわがままだね。」
首すじの、左耳のすぐ下あたり。
ちくりと赤く痛んだ。
あぁ、証拠ができちゃったじゃない。
あれは夢だったんだ、って言い訳できなくなってしまった。
「先生のせいだよ。」
「そうかもしれません。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月子(プロフ) - はにはにさん» はじめまして、コメントありがとうございます（ ; ; ）そんな風に言っていただけてとても嬉しいですm(_ _)m始めから最後まで読んでくださり、ありがとうございます（ ; ; ） (2017年10月15日 9時) (
レス) id: a6497a8f4f (このIDを非表示/違反報告)
月子(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとうございますm(_ _)mこんなお話を楽しみにしていただけて嬉しい限りです（ ; ; ） (2017年10月15日 9時) (レス) id: a6497a8f4f (このIDを非表示/違反報告)
はにはに(プロフ) - 初めまして！このお話が出来たばかりの頃から読ませて頂いてたのですが本当にこのお話が大好きでした！更新の通知が来る度にワクワクしてましたし私普段コメントはしないのですが一言言いたくて初めて感想のコメントをさせていただきました。新作も期待してます＾＾ (2017年10月9日 16時) (レス) id: 3c6e49ba34 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして、久しぶりに更新が待ち遠しい作品に出会えて嬉しいです！番外編？も期待してます（＾Ｏ＾） (2017年10月9日 0時) (レス) id: 96df8fe841 (このIDを非表示/違反報告)
月子(プロフ) - mareさん» こんばんは〜嬉しい限りです(T . T)こんなゆるゆる〜なお話ももうすぐ完結なので、こうしてコメントをいただくことができて本当に嬉しいです、、、ありがとうございます（ ; ; ） (2017年10月6日 20時) (レス) id: a6497a8f4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月子 | 作成日時：2017年7月30日 19時
