fill a void in my heart/tn ページ23
曲パロ！色々狂ってる、ﾀﾋネタあり
─婚約者であるAが眠るように息を引き取った。俺とAの婚約を仲立ちしてくれたグルさんからそう告げられたのは、約半年前の出来事。俺は、彼女がいなくなったことを認めたくなかった。……気が付けば、泣くことすらも忘れてもうた。
今まで人形一筋やった俺を否定することなく隣にいると誓ってくれた彼女は、絶対にいなくなるはずなどないのだ。
才能があったんやろうな、大人になる頃には人間に近い見た目の人形を作れた。
──なんや、簡単なことやないか。
「………いなくなったのなら、作ればいい。俺は、人形師やから……」
その日以降俺は己の工房に閉じこもり、生前のAとほぼ変わりない人形を作りあげた。初めの頃はチーノや大先生、グルさん達は驚いていたがそのうちいつも通り接してくれるようになった。
せやけど、Aについては触れてくれへんのや。彼女は俺の隣でよく眠っているというのに！
でも、隣で眠るAは綺麗な目なのに俺すらその目に映さない。俺がマッサージの為に動かした時に感じる、ぎこちない関節の動き。
……これじゃ、あやつり人形みたいやんか。
「…なぁ、もう一度だけ声を聴かせてや……。どうしたら、この糸を断ち切れると思う？」
『………』
あぁ、このこんがらがった運命の赤い糸をどうしたらいいのだろうか？
「返事はしてくれへんのか………A、ホンマ冷たいなぁ」
………ホントは心の奥底で気付いとるんや。目の前におるAはただの人形で、これが偽りの愛であることくらい。
どうすれば、こんな悲劇を終わらせることができるんやろか……。
「………俺も同じになればええんや」
……そうや、俺もAと同じになればいいんだ！Aが悲しくないように俺と寸分違わぬ人形を作り、隣に置いた。
俺の目に映るモノ、手に触れるモノ………全てを無に返そう。
「A、今行くからな。笑顔で待っててくれ……さよなら、皆」
最後に俺が見たのは……微笑むAの人形だった。
次の日様子を見に来たグルッペン氏により、人形師であるトントン氏がAと彼を模した人形の傍で息を引き取っていることが確認された。その顔はとても穏やかで、まだ生きていると誤認するほどだったという。
この2人を模した人形は、現在グルッペン氏が管理している。彼曰く、繋がれた手を離すことが出来ない………時々、この人形が生きているようにさえ感じてしまうとのこと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しぃりん(プロフ) - イカの化身さん» ありがとうございますー！誤字、直しておきますね………((( (2021年10月25日 11時) (
レス) id: 40e91cb810 (このIDを非表示/違反報告)
イカの化身(プロフ) - あ、あと私ごとなのですが、誤字？らしきものを見つけまして…お時間あればお直しお願いしたいです…！両親や先生から期待される優等生、それが私だらしい。の所です！！！更新、体調崩さず頑張って下さい。 (2021年10月25日 1時) (レス) id: a0117cd36a (このIDを非表示/違反報告)
イカの化身(プロフ) - はじめまして！しぃりんさんのd!この短編集めっちゃ好きです！！！！もうとくにメンバーの口調とかすごい掴んでて'''！！！もう""好きです"" (2021年10月25日 1時) (レス) @page1 id: a0117cd36a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
