ドッペルゲンガー (ページ2)

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あ

変なの。

なんの連絡もなかった。

会社に行く途中の電車でスマホをチェックするけど、

ジミンと書かれたカトクのトークは一年前で終わってるし。

着信履歴もなし。

別に急用でもないから、直接言うつもりとか？

いつも通り電車を降りて改札を抜ける。

駅のすぐ近くの会社の自動ドアを抜けると、ちょうど目の前にジミンがいる。

｢おはよう｣

JM｢あ、おはよ｣

私の挨拶に、スマホを眺めていたジミンが顔を上げ、またすぐスマホに視線を落とした。

…ん？

何も言ってこない？

何か言いづらいことなのかと思って、ジミンの隣に立ってエレベーターを待ち、一緒にエレベーターに乗り、話しかけてくるのを待つ。

けど。

当の本人は欠伸をしたりスマホを見たりするだけ。

特に変わった様子もない。

…変だな。

じゃあなんで昨日部屋の前に立ってたんだろう。

あれ、そう考えると、ほんとにあの人はジミンだったのかな？

なんか自信なくなってきた。

あ

本人には聞かない。

というか、究極の場面以外あんまり話しかけたくない。

浮気沙汰からの凄絶な喧嘩の末に決別した私とジミン。

私たちもいい大人だし、

同じ会社にいるから仕方なく穏便に生活してるだけで、ほんとは顔だって見たくない。

特になにもなさそうだから、エレベーターを降りてからジミンの傍を離れて歩く。

不思議だけど、たぶん見間違いだろうな。

ジミンじゃなくて知らない人だったら、なおさら怖いんだけど。

私の家の前で何をしてたんだろう。

そんなことを考えながら部署に入る。

完全に仕事モードに切り替わった頭の中には、

もう昨晩のことは残っていなかった。

あ