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相葉さんと同時にそちらを見れば端っこの席でビールを傾けていた彼がテーブルに突っ伏している。
「おまえもう帰った方がいいぞ」
「……いいえ、まだ飲めます」
「飲めないって！」
ぶつぶつと「飲めます」と繰り返している彼に周りが慌てて水を勧めている。
私は残っていた焼き鳥を最後一個口に放り込んで、ガタンと立ち上がった。
「あの、私もう帰るので、よければ駅まで連れて行きますよ」
「え、加西さん一人で？」
「はい」
「それは大変でしょ、俺手伝うよ」
「大丈夫です。肩貸せば歩けると思いますから。ですよね、櫻井さん」
私が声を掛けると彼は向くりと体を起こしてコクンと首を縦に振った。
ガクン、の方が正しいかもしれないけど。
「でも……」
「相葉さんはまだ飲んでてください。せっかくの花金ですから」
私は半ば強引にそう言って荷物を持ち上げる。
「さ、帰りますよ櫻井さん」
「……はい」
辛うじて返ってきた返事に私は櫻井さんの腕を自分の肩に回して担ぐ。
「じゃあ、すみませんがお金は月曜日に」
「うん、わかった。じゃあね」
「……気を付けてね、加西さん、翔ちゃん」
同僚の女の子たちと相葉さんの寂しそうな声を背に受けながら私は彼を連れてお店を出た。
人通りの多い繁華街をしばらくそのまま進んで、完全にお店から見えなくなってから担いでいた腕を下ろす。
「翔さん、実はそんなに酔ってないでしょ」
「……バレましたか」
ぐたっと私に担がれる振りをしていた彼の柔らかそうな唇からそんな声が漏れる。
私の肩から手が離れてすくっと立つと、彼は私に向かって手を差し出した。
「帰りましょう、Aさん」
「もう、私相葉さんとお話してるところだったのに」
「知ってます。だから邪魔してやりました」
ニッと口角を上げて彼が笑う。
黒縁眼鏡の奥にある瞳が、いたずらに細められた。
顔は良いけど無口で恋人にするには微妙、みたいなことを会社の女の子たちが口にしていた櫻井翔さんは私の恋人だ。
もっと言えば、同居中の恋人だ。
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iCHiKA(プロフ) - tubinさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！お楽しみいただけたとのこととても光栄です。今後もお楽しみいただけるよう頑張らせていただきますね！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです！！ 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください！！ (2021年8月22日 20時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - にゃんちきさん» にゃんちき様、いつもありがとうございます！糖度高めを目指して頑張ったお話でしたが、お役に立てたようで良かったです。こちらこそご賞味ありがとうございました。 (2021年8月21日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちき(プロフ) - 最近疲れ気味だった私には翔さんの甘さが最高のご褒美になりました。ご馳走様でした( ´ω` )/ (2021年8月19日 19時) (レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年8月15日 14時
